佐久間くんは他担の子に恋をしてしまったらしい

#1『プロローグ』 ページ1

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「 〜♪ 」





参戦服はフリルがついたいわゆる "量産系"
黒をベースにしたチェックのミニワンピ



真っ黒ストレートのロングヘアは毛先だけ少し巻く
ここでポイントなのは巻きすぎてキャバ嬢みたいにならないこと
ハーフツインにしたら出来上がり



メイクは濃くなりすぎず
だけど目元ははっきりと
アイシャドウはメンヘラメイクにならない程度に赤と紫を程よく混ぜる



お気に入りのMCMのピンクのリュック
ワンポイントは緑色のハート型チャーム



厚底履いて準備完了










いざ向かうのは

歌舞伎町でも地下現場でも水商売出勤前でもない









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「 いやぁ！！ビジュ！最高無理、無理尊い 」









SnowManのライブ会場


私は強火阿部亮平くん担当









推しのビジュアルがいいとこんなにも人間は騒げるものなのか

ひとり参戦にも関わらず大きな声で独り言を叫んでしまう




「 はぁ……尊い……… 」





今日はコンサート初日

昼の公演は外れたので夜の公演だけ

まずは朝からグッズ回収

グッズ買ったらすぐカフェでも入ってゆっくりしようと思っていたのに、あまりにも推しのビジュが良すぎて思わず会場前で立ち尽くしてしまう


顔面国宝、阿部亮平

頭の中で9太郎の歌が流れてくる
沸いたー！それなー！








もう社会人でそこそこ収入の良い私は、多分そこらのオタクより財力はある方だ(と思う)

うちわは何十枚も買わないと気が済まないし
本当は全部買い占めたいくらいだ









そんなことは置いといて、亮平くんのうちわを1枚1枚愛でていこう

早くどこかで休みたい


荷物をまとめてその場を離れようとすると聞こえてくる若い女の子たちの声





ーー あれ、"クロミ様" じゃない！？

ー あ！本当だ！阿部ちゃん担当の！！






あ、見られてる

変な絡み方されても困るしさっさと逃げよう

その子たちの声に反応したかのように周りが私の方を振り返って注目し始める

………面倒だ早くどこか隠れないと


階段を降りて近くのファミレスに一時避難した








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