#1 『 プロローグ 』 ページ1
＊
一体、どうしてこんなことになってしまったのだろうか。
「 お姉さん、お邪魔しまーす！ 」
彼を家に招いて思い返すのは、つい数時間前の出来事。
今日もいつも通りデリiヘル嬢としての3人目の仕事を終えて、事務所の待機室に戻る途中だった。
この仕事を始めて１年目。就活氷河期の影響をモロに食らった私は、新卒でどこにも務めることが出来ず。それでも仕事をしないと生きていけないからという理由で、都内の某所でデリiヘル嬢として働いていた。
しんしんと降り続ける雨の中ゆっくりと傘を差して送迎の車を降りると、ふと店の前にぽつんと
誰かが体育座りしているのが目に入る。
見るからに若そうな男の人。
雨から身を守るように店の屋根に体を縮こませている。だけど完全に身を隠せていないのか、ところどこれ濡れているように感じた。
というか、こんな雨の中何故店に入らずにこんなところに座っているのだろう。
最初はそんな、疑問から始まる出会いだった。
「 あ、お姉さん！ 」
ふと目が合って、そしてにこりと微笑まれると突然私の元へ駆け寄ってきたその男性。
それにびっくりして思わず後退りする私。
だって私はこの人を知らない。
お構い無しに私に近付いてきた彼は、雨に当たっていたせいか若干前髪が濡れていた。
身長は同じくらい、立ち上がった彼と目線がぴたりと重なる。
「 俺、お姉さんのこと指名したいです……。 」
「 は？ 」
「 泊まりで！あ、朝まで良ければ、」
「 いや、そういう事じゃなくて。あのねぇ。 」
何を言っているのだろうか、矢継ぎ早に次々に畳み掛けてくるこの男性。
だけどその顔をよくよく見ると、どう考えても……未成年？明らかに18歳以下の高校生に見えるのは気のせいだろうか。
「 ……あなたまだ学生でしょ。ここは未成年の来るところじゃないから、ほら高校生は帰った帰った。 」
そう言って追いやると眉を下げて途端に困った顔をする。反論しないということは本当に高校生なんだ。
…あと、その顔は可愛いからやめて欲しい、まるで子犬みたいでどうも調子が狂う。
「 じゃあ今夜一晩泊めてください、……あ！お金ならあります。 」
＊
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1528人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
名無し29860号(プロフ) - 最高に好きです！！！続き楽しみです！！！ (2021年5月22日 12時) (
レス) id: d2c23612bb (このIDを非表示/違反報告)
ひーちゃん - もう設定から好きすぎます！めっちゃ楽しみにしてます！！ (2021年4月2日 3時) (レス) id: 26a54ff7bc (このIDを非表示/違反報告)
ぱ た(プロフ) - 続き楽しみにしてます！ (2021年1月2日 22時) (レス) id: 99d7cdb867 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーみん - めっちゃよかったです！黒田くんの小説が読みたいなと思った時にこれを見つけて「よっしゃー！！！」ってテンションが爆上がりしましたwwこれからも更新頑張ってください！ (2020年9月26日 14時) (レス) id: 1767363814 (このIDを非表示/違反報告)
ま(プロフ) - 黒田くんにあじは私得すぎました、、！ずっと楽しみにしてた黒田モノ(言い方)なのでとっても楽しみです！！！ (2020年9月16日 6時) (レス) id: 80c92d0d93 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：FON
| 作成日時：2020年9月16日 4時
