" 漸近線 "

#31 ページ31

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思わず呟いた言葉に ､ 彼女が驚いて俺の方を振り向く
そして 犯人が俺だったことを確認すると ､ 優しく微笑んだ


















阿部「 …あ ､ ご結婚おめでとうございます ｡ 」


「 ふふ ､ ありがとう ｡ 」

















その笑顔さえ ､ 俺を虜にする魔性の天使




" どうか ､ お幸せに "
その一言がどうにも出てこない



いざ言おう ､ そう思った矢先に



















兄「 似合ってるじゃん ｡ 」


















後ろから聞こえてきた ､ 御相手の声


その声にパッと顔を輝かせて小走りに向かうのは目の前にいる天使
いや ､ 堕天使なのかもしれない















結局は ､ 彼女の選んだ相手は兄貴であって俺ではない
彼女は俺を救いたかっただけ


だって ､ "愛しい兄貴の弟" だから








俺は何も言わずに部屋を出た
母親と一緒に着席して ､ 式を見る











真っ白いウェディングドレスを着た彼女は ､ 今まで見たどんな人よりも物よりも

誰よりも輝いていた
























結局俺は誰かに依存していないと居られなかったのかもしれない
誰かを盲目的に信じて ､ 崇拝して ､ それを人生の軸にして




母親という間違った道筋から外れても ､ A先生が正しいルートだったのか分からない

結局はどれも正解でどれも間違い

他人に縋って生きていこうとしていたのが ､ 根本的に違っていたのかもしれない







俺の目指す ､ 大人は何処にある



まだまだ模索する必要があった


















￣￣￣
￣￣
￣

















それから暫くして ､ 季節は巡り春がやってくる


兄貴夫婦は ､ 俺らと一緒に暮らすことになった























「 宜しくね ､ 亮平くん ｡ 」


















もう先生じゃない




俺と彼女の関係は ､ 目に見てる形で ､ きちんと周りに分かる様にして

確実に変わっていた


























阿部「 宜しくお願いします ､ お義姉さん ｡ 」




















もう俺は ､ 好きを伝えられない












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