" 漸近線 "

#5 反抗 ページ5

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餓鬼だと思われるのは ､ この上なく不愉快だ

これでも弱18年間必死に生きてきた
俺らなりの生き方で
俺なりの解釈の仕方で










母「 お早う ､ 今日は早いわね ｡ 」


阿部「 予習があと少しだから ､ 学校でやろうかと ｡ 」











だって " 真面目 " って正義だから

母親からそれなりの英才教育を受けてきて ､ 俺もそれに反抗する事無く受け入れて
6つ上の兄が家を飛び出してから ､ 母親の "教育" という名の支配は ､ より一層激しいものとなった



『 貴方は周りみたいに馬鹿な事をしないで ､ きちんとした大人になりなさい ｡ 』



母親の言葉は呪いのように俺の心に染み渡り ､ そして俺を締め付ける

母親は真面目な人だった
俺らの事も ､ 自分と同じように育てようと必死だったんだと思う

だけど兄貴は弱いから ､ それに耐えきれなくなって逃げてしまったんだ












母「 …もっと気を引き締めて頑張りなさいね ､ 貴方だけはまともになって欲しいから ｡ 」











父親は ､ 数年前に若い女と蒸発した


母には俺しか居ない
だから俺も母の要望に必死に応えたいんだ

何だか今日は少し熱っぽい
それでも母親に心配をかけぬよう ､ 早めに家を出た










なのに今日もあの女は俺を惑わせ ､ そして狂わせる












「 亮平くんお早う 〜 ！ 」













昨日は眠れなかった



予習もしたかったし ､ 宿題もやりたかったのに ､ 自然とその手が止まってしまうのはやっぱり昨日の放課後のせい

無意識に触れるのは ､ 昨日彼女に奪われた俺の貧相な唇



朝 若干の寝不足を抱えながら登校し ､ 正門に着いたらこの女が現れ ､ 自然と目につくのはその唇
艶やかで潤いの保たれた ､ 昨日俺の唇を奪ったその唇















阿部「 ………もう二度と関わらないでください ､ 」


「 あはは反抗期〜 ？ 」













事実 ､ 彼女の唇の感触が忘れられなかった

迫ってくる端正な顔も
綺麗に上へと上がっているそのまつ毛も
くりっとした大きな瞳も
発色の良いその唇も


全部全部 ､ 脳裏に貼り付いて剥がれない

















「 …… 体調悪いの？ 」












黙っている俺を心配したのか

すると突然 ､ 彼女が俺の額に手を当てた
俺はそれを咄嗟的に思い切り振り払う


気持ちが悪い
気分が悪い



















阿部「 いや………大丈夫です ､ 」











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