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*
だけどそれは残酷で。本物の俺は誰にも愛されなくて ､ また皆の前では猫を被らないといけなくて。
本当の俺を出すことが幸せなのか ､ 隠すことが幸せなのか今の俺には分からない。
だけど今は ､ 君の音色が聴きたいんだ。
「 ……あの曲が ､ 良いな ｡ 」
初めて出会った時に弾いていた あの美しいクラシック。彼女はニコリと頷くとピアノに向き合った。音色は耳から滑り込み ､ そして 身体全体に入り込む。
難しい旋律 ､ 激しい抑揚 ､ 強弱のはっきりした音程 ､ 揺れ動く感情のように小刻みに変わるテンポ。
やっぱり綺麗だ。彼女の音楽 ､ そしてそれを奏でる彼女の姿は。
「 ……… ありがとう ､ 」
何年ぶりだろうか。生理的な涙がほろりと出たことに ､ 俺は気付けなかった。ぽたぽたと暖かい雫が頬をつたって ､ 濡らしたのは暖色の服。
演奏が終わると涙を流した俺に少し驚きながらも ､ 彼女は嬉しそうにハンカチを手渡す。
「 …… というかその話 ､ 私引き受けてもいいですよ？ 」
そして彼女は ､ さらっと爆弾を落とした。
「 え？ 」
「 そのピアニストが来れなかったら弾きますし ､ 来れたら来れたで私は帰りますので ｡ 」
確かにスタッフは ､ そんな都合の良い人材を求めているのだろう。だけど
「 そんな ､ 流石に申し訳ないよ … 」
「 いや別に ､ 」
ピアニストでもない彼女にとってそれくらいはボランティア感覚らしい。まだ彼女が本採用されると決まった訳では無いけれど ､ スタッフの方に連絡を取ってみるのも良いかもしれない。
「 ありがとう！早速なんだけどさ … 」
水を得た魚のように ､ 俺の口は素早く動く。番組内容に目を通すと静かに頷きながら ､ 大丈夫と言ったように俺の目を見た。
だけど ､ 出演者の欄を見て途端に顔を曇らせる。
「 ……SnowManさん全員出演なんですね、 」
彼女の言葉の意味が ､ この時の俺には分からなかった。
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紫苑(プロフ) - シンプルに好きですたくさん伝えすぎてそろそろ鬱陶しいと思うのでそれだけ！ (2020年6月12日 23時) (
レス) id: bb5b028e9a (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - 完結おめでとうございます…！！佐久間くんの笑顔の裏の脆そうな感じの表現がとっても綺麗で、今回ものめり込みました…！やっぱりFONちゃんの書くお話大好きですー！お疲れ様でした…！ (2020年6月12日 20時) (レス) id: 1ae247aadb (このIDを非表示/違反報告)
ひまり(プロフ) - 初めまして。ひっそりと楽しんでいました。完結おめでとうございます！ぐるぐると悩んでる場面ではなんだか私まで苦しくなりましたが、最後は本当の笑顔になれて良かったです。最後で見守っていた2人がかっこよかったです。これからも陰ながら応援しています。 (2020年6月12日 20時) (レス) id: 1cf2e634a0 (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - はぁエモかった……１から読んだまた変わるね…やばいほど心刺さったこれから病んだらこれ読む決めた。お疲れ様でした(T_T) (2020年6月12日 15時) (レス) id: 3aa1f24af2 (このIDを非表示/違反報告)
FON(プロフ) - ゆうさん» コメントありがとうございます；＿；無事に完結しました！ゆうさんも色々辛かったのでしょうか……お話に自分を重ねていただけて嬉しい限りです；＿；送り主様も幸せになれますように。 (2020年6月12日 15時) (レス) id: 489a166a7a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：FON
| 作成日時：2020年5月18日 12時
