− 淘汰 ２

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それでも私は彼を助けたかったから

一旦は躊躇していたものの、よほど体力の限界だったのか














佐久間「 A……っ、ごめん。 」




















私の名前を呟き、そして消え入るような声で謝ると私の首にその牙を刺す




血をドクドクと抜かれるが
何度やってもこの感触には慣れなかった


ピリッとした痛みに、そして献血や採血なんかのスピードとは程遠いレベルの吸血










いくら時間が経ったのだろう、次第に提供していた私の方が意識が低迷してする


ふらっとして佐久間の身体に倒れ込むと、その身体からは布越しにだけど微かに暖かみを感じた

良かった、ようやく体力が戻ってきたんだ
























「 まだコロシアム終わらないから、…もっと血吸って、佐久間が死なないように、 」


佐久間「 Aもういいよ、…このままじゃAが、」



















その声も私の耳には途切れ途切れに聞こえていたのだろう
その場から動く気配のない私を見て佐久間が深いため息をついた























佐久間「 ……こっち向け。 」



















その瞬間、彼に預けていた身体がふわっと浮いて端正な顔が真正面に広がる






唇が重なった





口内に舌が入り込み、じゅるじゅるとその唾液を吸い取られていく





使い魔は、人間の”体液”を必要としていた
この場合、血液ではなく唾液でも構わない






















佐久間「 、はぁっ………、 」






















私は夢現の中、彼の舌が器用に私の唾液を掬って飲み干す

そんな状況に、些か興奮さえ覚えていたのだろう













私とあなたが契約を結ぶのは運命だったのかもしれない

あの日私は悪魔に襲われていたところを助けて貰った、それを思い出して感じたんだ



佐久間は、きっと人間を恨んでいるわけじゃない

自分たちをこんな姿に変えたこの国、一部の奴らに恨んでいるんだ
その恨みの程度が段々と抑えきれなくなって、人間全体へ向いて言ってしまっただけ






















「 佐久間、 ……もう大丈夫。…、私が佐久間を救うからね。 」



















今ならきっと彼を変えられる









にこりと微笑むと、佐久間が目を見開いて私の顔をじっと見た

その表情は次第に和らぎ、見たこともないような柔らかいものへと変貌していく













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