はっぴービっチは紅一点_2 (ページ49)

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# 『過去』ページ49

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「ハジメテを好きな人に、捧げるって重いのかな。」

もう10年くらい前だろうか
そこに居たのは高校生の私と、大好きだった彼の姿

「あのね、私。ハジメテを捧げたいの。」

一世一代の告白

だけど私は、君が一瞬困惑したような表情を浮かべたことを、見逃すことが出来なかったんだ

『俺、今彼女は…… 、』

「いいの！そういうのじゃないから、」

必死に訂正する自分が妙に惨めで
そして、その言葉は嘘偽りの書き連ね

だって、そう言わないと今後の関係に差し障るでしょ？

本音と建前、高校生なりの配慮

嫌われたくない
この関係性を壊したくない

私は、藤ヶ谷くんのことが好きだったから

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「 ……いやっ、！！！」

気付いた時には、背中にびっしょり汗をかいていて

思わずため息を漏らしながら時計を見ると、夜中の3時

「 ……夢か、」

ここ最近よく見る
メンバーの皆に迫られることが増えてから、特に

悪夢、トラウマ、嫌な思い出

私には好きな人がいた

事務所に入った時からずっと慕ってた大好気な人
初めても捧げた

だけど、付き合えなかった

2番目でもいいと思えた
いつか付き合えるんじゃないかと思った

だけどいくら身体を重ねても、彼と心まで重ねることは出来なかった

男の人にとって、行為なんて簡単なものなんだ

自分ばっかり浮かれてバカみたい

性行為に重きを置くのが嫌になって、

岩本「 ……どうした？」

「あ、起こしてごめんね。」

愛情が欲しかった

だから私は、手っ取り早い愛を求めた

男は身体から入った相手を、本気で好きになるとは思わなかったから
そう学んだから

色恋なんて、もうそんな事したくなくて

感情を無くして、無心にその時の欲望に縋って

果たして、私の選択は正しかったのだろうか？

岩本「ほら、まだ早いから。寝ようよ。」

メンバーは、自分に恋愛感情を抱いてしまった

自分がまいた種だけど、誰も幸せにできない

だけどこれを乗り越えなきゃ、きっと私は前に進めない

「そうだね、おやすみ。」

愛に飢えた八方美人な私の身勝手な願いを
どうか聞いて欲しい

お願いだから、もう

私を好きになるのは、やめてください

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