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*
「 ちょっ、ラウちゃん、 」
急いでその涙を拭こうとしても、彼は私に背中を向けて、下を向いていた
ラウ「 ………年齢で僕が拒絶されるのなら、…もっと早くに産まれたかった。 」
向こう側からは、彼のくぐもった声が聞こえてきていて
今にも泣き出しそうな、辛く、寂しそうな、切ない声色
リビングに設置されている置き時計は鳴り続け、秒針の音が静寂を造らせない
ラウ「 もっと早くにAちゃんと出会っていたら、
……俺の事、ちゃんと男として見てくれた？ 」
子どもだけど子どもじゃない
大人になりきれない、10代後半
彼の心情を察すると、何だか同情してしまいそうになるし
それより何よりも、こんなにも自分のことを好きでいてくれることに
嬉しさと、それ以上に罪悪感を感じてしまった
「 ラウちゃん、 」
その肩に触れて、ゆっくりと振り向かせる
目尻に溜まった涙を拭いて
そして、軽くキスだけをする
はずだった
ラウ「 形勢逆転〜！ 」
近付けた唇は、私から重ねることなく
彼の強引な左手によって思いきり合わせられる
いつの間にか、私の視界には彼の顔と
そして、彼の顔越しに天井が見えていた
「 ……は？ 」
ラウ「 Aちゃん、隙ありすぎ。てか、騙されやすすぎ。 」
このガキ、
そう思った時にはもう遅い
体格では圧倒的不利な私、彼に組み敷かれてしまえばもう逃げられない
ラウ「 んふふ〜、ここからは俺のターンだね？ 」
彼が、右手で私の髪の毛を優しくとかすと
指の隙間から細い毛がすり抜けていく
ラウ「 Aちゃん、好きだよ？」
そしてまた、優しくも情熱的に
唇が合わさった
───
終わったあとのラウちゃんは、少々ご機嫌斜めのご様子
「 ねぇ拗ねないでよ。 」
ラウ「 ……うっさい。 」
いわゆる、反抗期
いや違う
多分私が攻めすぎてしまったせい
「 ごめんね？ 」
ラウ「 許さない。 」
「 じゃあいいよ。 」
ラウ「 ……あぁ許すから！ねぇ！どこ行くの！！ 」
水を取りに行くだけなのに、この慌てぶりよう
子犬系年下男子は、私の未知の扉を開けてくれそうな予感がした
*
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作者名：FON
| 作成日時：2020年7月3日 6時
