5話 ページ6
中原side
貴方「何故、ですか。そうですね…これは私の憶測ですが、私が人工的に作られた生命体だからではと勝手に思っています。」
人工的に作られた生命体...？？
憶測、ということはここから出ることを許されていない理由をこいつも知らないということだ。何故こいつも知らない。何故何も知らずにずっとこの箱の中にいられる。
俺の中に色々な考えと感情が出てくる中、人工的という言葉が引っかかった。
中原「姐さん、こいつは...。あの、人工的ってことはまるで...」
まるで...俺のよう。
尾崎「察しがいいのう。そうじゃ、お主が思っておるとおりであろう。」
姉さんがそう言って微笑んだのと同時に背後で扉が開く重い音がした。
振り返るとそこには…
中原「首領...と、なんで手前がいんだよ。クソ太宰。」
太宰「げっ。それはこっちのセリフだよ。君こそこんなところに何の用だい？？」
首領とクソ太宰が顔をのぞかせた。
森「2人ともやめなさいAちゃんの前で。Aちゃん久しぶりだねー！なかなか会いに来られなくてごめんね！今日はエリスちゃんも一緒だからね！」
エリス嬢は少女の椅子に駆け寄り嬉しそうに笑った。
中原「首領、あの...彼女は俺と同じで、その、軍の研究施設で作られたと姐さんに聞きましたが...。本当、でしょうか。」
平常心を保とうとしても保てなかった。
俺と同じ、という事実を信じられない。分からない。
森「ああ、君と同じだ。彼女は試作品・甲一九九番だ。君の番号より少し若いね。」
俺の呼び名は試作品・甲二五八番。あの頃を思い出すだけで胸が苦しくなる。俺がもう聞きたくない番号を聞いても椅子に座っている少女は...あいつは顔色ひとつ変えることがない。それどころかにっこりと微笑み。
貴方「懐かしいです。」
といった。
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