CALL MY NAME（黄） (ページ37)

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言わなきゃ。ページ37

会場が暗くなって、SEが流れて。

今はライブを楽しもう
久しぶりに見れるんだもん、楽しまなきゃ損だ！

『やっぱ最高だった！青春だわ！私の青春！！』

「あの曲の間奏のアレンジめっさエモかったやん、あんなん弾けるようなりたいわ」

『あぁ、亮好きそうなソロだったたしかに。笑』

「やんな？？俺らもあんだけイジれるくらいの作らんとな。あんまかっちり作りすぎてもアカンかもな。」

『がんばれー』

「ベース変わったんも違和感なくなってきたやんなぁ」

『言うな、それだけは言うな』

「好きやったもんな、あのベース」

あの子みたいににベースが弾きたくて大学で軽音に入ってはじめたベースも、全然上手くなれなくて。
結局4年間やっただけで、卒業してから弾かなくなっちゃった。

『どこかでベース弾いてくれてればいいの。私の憧れ。』

「弾いてるやろ、あんな上手かったんやから。」

ガヤガヤしたフロアで、バンドメンバーが物販に出てくる様子がないか伺ってる。
スタッフの女の子しかいない。

「今度のライブ、ヤスの企画やねん。」

『あ···ぁ、聞いた』

「来るん？」

『茜と』

「んならすばるくんのとこで名前入ってるんか」

『そうかも。』

ヤスのとこに名前が入ってる、本当は。

今か、今言うタイミングか、

『っ、あの、ね、』

「お！来たで！」

このタイミングでメンバーがぞろぞろと出てきた。
タイミング！タイミング悪い！
だけどサインほしい！

『行ってくる』
CD握りしめて意気込んで。

『あの！
この、CDのとこに、サインとか、もらえませんか、、』

メンバー4人分のサインを貰えて、
めっちゃ嬉しい！！

『見て！全員分もらえた！！！』

離れたとこで待ってた亮のところへ戻って、サインを見せる。
うー！ほんとうれしい！
本音を言えば花梨ちゃんのサインも欲しかった…私はいつまでも亡霊よ……

「良かったな」

そう言った亮の表情があまりにも柔らかくて
一瞬世界が停止して
胸が締め付けられて、痛い

「帰るか」

『うん·····』

ライブハウスから駅まで人混みを縫うように歩いて

言わなきゃ、ヤスのこと、はやく言わなきゃ、、、