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『来年もまたここで海の日しましょうね』
なりやまない拍手が、ドームのラストを彷彿とさせる。
こんな狭いハコなのに、今感じてるのはドームクラスの高揚と興奮と、それと寂しさ。
それと、アイツを海に連れてかなきゃならんとまで思ってる自分かたしかにいる。
あの曲も聞きたかった、あの曲はなんだろう、そんな声が聞こえてる。
アイツはギター置いたまま、バックから帰ってこない。
前回はそのままここ来たやんけ。
「渋谷さん、迎えにいってあげたら?」
「俺演者やないんですけど」
「ここのバックゆるゆるだから。渋谷さんなら顔パスっす。」
えー、なんそれ、、
これ持ってってとスミノフ渡されて、アイツこれしか飲まんのかと呆れるけど、足はもうそちらへ向かってた。
ギターやらベースやらエフェクターケースがぞろぞろと並ぶ狭い空間に、青のワンピースにくるまれたアイツがぼけーっと座っとる
・・・小さい背中やな。消えそう。
思わず後ろから抱きしめてしまって。
『す ばる?』
「海、行きたいんやろ」
『連れてってくれる?』
「いいステージ見せてもらったお礼やからな」
『ふふ、ありがとう』
頭のてっぺんに、引寄せられるようにキスして、
そのまま覗きこんで唇にキスしたった。
驚きも、拒否もせん。
「・・・車じゃ行けんよ、飲んでもうた」
『電車がいい』
「片付け、してこい」
そう告げて、バックを出る。
「Aちゃん、倒れてませんでした?」
「酒飲むんやなかった」
「さーせん。電車でお願いします。あとAちゃんも。」
福田、その笑みはどんな意味やねん。くそ。
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アイハ(プロフ) - 8七色8さん» はじめまして、七色さま!コメントありがとうございます!とっても嬉しいです♪またこの2人はこの先ちょっと出てくることがありますので(まだアップは先になりそうですが…)お楽しみいただけたら嬉しいです! (2020年10月4日 21時) (レス) id: 6e77fc1940 (このIDを非表示/違反報告)
8七色8(プロフ) - 面白かったです、続きが読みなくなるくらい (2020年10月4日 17時) (レス) id: aedfceb73f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アイハ | 作成日時:2020年7月20日 21時