【銀魂】 吉原の遊女と鬼の話。

感情と理性(土方side) ページ8

「あーァ土方さん、
あんなこと言っちまって。

かわいそうですねィ」


かわいそう、と口では言いながら

顔ではあからさまに面白がっている部下を
横目にため息をつく。

「見てやがったのか、総悟。」


「ええ。土方さんが
あの遊女にぶつかって
馬乗りになったところから
ビンタされたところ。

遊女になさけをかけたら
それでまた怒りだされ、
あげくのはてに土方さんが
ひでえこと吐き捨てて立ち去るところまで
ばっちり…」


・・・・・・・つまり、最初から最後までか。

そういえば、
女どもの群れにまぎれて
俺を石階段のほうにつき飛ばしたのは・・・・




「・・・・・・・・そもそも
てめえのせいだろうが。総悟ォ・・」


「あり？そうでしたっけ？

・・・にしても、知りやせんでした。
土方さんがあんなに遊女が
嫌いだったなんてねィ。
もしくは、そんなに女に殴られたのが
癪に障りましたかィ？

結構美人だったのにねィ。」


ひょうひょうとした口調。

突然の質問に、
俺はくわえた煙草をかみ潰した。

総悟は、鋭い。

馬鹿なふりをして、
俺の一番痛いところを突きやがる。


自分でも、わからなかったのだ。

確かに、遊女は嫌いだ。

殴られたのも、癪に障った。

あの女に吐き捨てた言葉にもウソはない。

・・・・・だが。


なぜ、言わなくていいことまで言ってしまったのだろうか。

「汚い女」。

思ってはいても、心の中にとどめておけばよかったものを。

あそこまで、見下さなくてもよかったものを。

「べつに、どーでもいいだろ。
あんな遊女に俺が何言おうが。

ガキは口出ししてくんな。」

口の中に広がる苦い煙。




・・・・・・そうだ。
あんな女に何を言おうが、
傷ついたりするわけがねェ。

……俺の、知ったこっちゃねェ。

汚い少女→←分からない怒り

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