大丈夫、キミが好きだよ。#2【orange】 (ページ8)

今日:2 hit、昨日:9 hit、合計:26,123 hit

. ページ8

丸「でもAがひとりぼっちやとは思わんかったなあ」

「なんで？」

丸「Aやったら花火に誘われまくりやろ」

「…そんなことないよ」

丸「うっそだぁ」

「ほんとです～」

なんて言うけど実は結構誘われた

同じクラスの人は少なかったけれど

ひとつ上の先輩とか、
別のクラスの男の子とか、
誰かは分からないけど靴箱に手紙を入れてくれた子とか、

ひとり大倉くんに手紙を運ばせた子もいたっけ

大倉くんは

大「いやまって俺からの手紙ちゃうから。そんな嫌な顔せぇへんでも誘わへんしマルちゃんも誘わへんし大丈夫やからほんまに怖い顔せんといて」

ってブルブル震えてた

思い出し笑いする

そうだ、思い出し笑いもなかなか好きなことだよ

「あ、始まる」

丸「うわほんまや。外出る？教室からでええの？」

真っ暗な教室には私たち2人だけ

ちょっと怖いけど

隆平がいるから平気

丸「わぁ！綺麗！」

「見て見て隆平、デッカイの！」

丸「パァン！いうとるで！」

「ちっちゃいのもかわいい～！」

興奮する私たち

お互いの体を叩き合いながら目に入る景色を伝え合う

学校の花火だからそう長いこと打ち上がるわけでもなく

花火が終わった頃
みんなは余韻に浸り、明日のお祭りに向けてやる気を溢れさせる

生徒会長が全校生徒に向けて話をしている

その裏で私たちは優しく絡まった指先をそのままにしていた

いや離せばいいだけだけれど

終わりかけの花火の音に紛れて

丸「ちょっとこのままでいさせて」

そう言って指を絡ませてきたんだから仕方ない

『皆さんゆっくりと速やかに家に帰ってください。明日元気に会いましょう』

生徒会長の言葉に私たちは荷物を持つ

指は1本繋いだまま

「…隆平？」

丸「いいやんか。教室暗くて怖いし」

「よわむし」

ケラケラ笑う私たち

隆平の手は軽く汗ばんでいる