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hometown 58 ページ9
「ヒナ、ティッシュとってきてあげてくれる?」
「えー?ウチん中、入ったらええやん」
「お願い。ね?」
ぷうっとほっぺ膨らまして、ヒナちゃんが家の中に駆けてった。
「ごめ・・・オレ」
うつむいて傾いていくオレの頭に、遠慮がちに手がのびる。
冷たくて細い指がそっと首筋に触れて、引き寄せられるままに、その華奢な肩に顔を埋めた。
なんべんも息を吸って吐いて。
胸の内側がヒクッて震えてくるのを必死で堪える。
「うん」
子どもあやすみたいに、ぽんぽんせんといてよ。
そんなんされたらさ、込み上げてくるもん、耐えられんくなるやん。
両手に荷物持っててよかった。
そうやなかったら、みっともなく抱きついてわんわん泣いてしまいそうやってんもん。
「たぁくん、ティッシュー」
「おん。ありがとぉ」
顔上げて「えへへ」って笑って見せたら、「鼻でてる」って笑われた。
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作者名:花蜂 | 作成日時:2015年10月27日 12時