ともくんの

rd× 打ち上げ花火 ページ45

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やった！やった、やった！！！
シゲと念願の夏祭り！
浴衣着ようかな、りんご飴もかき氷も食べる！！
なんといってもチョコバナナ！！
あれが1番美味しいんよ？？
ずーっと行けてなかったし、楽しみすぎる。

「浴衣？めっちゃはしゃいでるみたいやんな。
　俺は着ひいんよ」

濱ちゃんと一緒に雑誌を覗いていたら、
それに気づいたシゲが俺に怪訝な顔で呟いた。
ちぇ、いいもん、1人でも着るもーんっ

「なあシゲ！楽しみやなあ！」

「はしゃぎすぎや、」

濱ちゃん金魚掬い苦手やねんて！想像つくわ！
でもちょっと見てみたいかも、

「せや！濱ちゃんも行こう？」

「えっ？」

「なあ、シゲ、ええよなあ！！」

メイクを落としながら素っ頓狂な声をあげて
俺らの方をまた振り返った。

「んな俺行かんでええよな」

「えっ」

「だって濱ちゃんおるなら俺わざわざ行かんで良くない？」

「あ…、そっか」

たしかに。
友達がお仕事で行かれへんって話をしたら
シゲが行ったろかって言うてくれたんやっけ。それもそうや。

「ごめん！神ちゃん。俺仕事やぁ〜」

「えええええ」

「んは、神ちゃん破れたり〜」

ってまたがはがは笑って楽屋を出て行った。

「シゲ、行きたくないみたいやな」

「神ちゃん？」








「シゲ！！」

待ちに待ったこの日！！
たくさん食べるためにお腹は空かせてきた！
少し帯も緩めにして、髪もセットOK！

待ち合わせは駅。

人混みが多いから、俺らには願ったり。
休日のシゲってあーみえておしゃれなんよ？
スマホから顔を上げて、眉を顰めた。
浴衣、やっぱはしゃぎすぎ？

「浴衣着たんや」

「うんっ、せっかくやしさ！」

「ふーん。ここ、緩なってるし。自分で着たん？」

「いっぱい食べようと思って！そう！」

「ちゃんと締めとき？変やで」

「食べるからいいのにー！もう！」

シゲは首元を治すと何もなかったように歩き出した。
変、かあ。

「待ってよー！」

慌てて跡を追いかける。
慣れない下駄に足をもたつかせながら。
食べたいものもやりたいものもたくさんあるけど
前だけを見て、全く楽しくなさそうなシゲを見ると
何も言えなかった。

りんご飴の前を通り、

濱ちゃんと話した金魚掬いを通り、

たこ焼きのソースの匂いを通り、

射的、箸巻き、またりんご飴。

一体どこまで行くんやろう。
いつもより歩きにくい下駄と浴衣。
何度もぶつかりそうになりながら
いつも通りのペースで歩くシゲを必死で追いかける。

「あっ…」

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