rd× 入れ代わり10 ページ43
流星が出て行ったと同時に
ぺたんと俺の隣に座り込んだ。
俺の両頬に手を当てた。
涙がキラキラと溢れて、綺麗な唇をそっと噛んだ。
「神ちゃん？どしたん、泣かんといて」
白い頬に手を当てて親指で何度もなぞった。
「ごめんな、ほんまに。」
「…っ、くっ、ふっ…ぅ、んっ、」
「流星っ、呼んだるからなっ、神ちゃん泣かんでな？
大丈夫やからっ、幸せになれるからな？」
慌てて携帯を手に取ると、
2件のメッセージ。
「「「頑張って」」」
「えっ、こいつ、」
流星の肩の上に、小瀧が頭を乗せて、
もちろん流星は優しそうに微笑んでいる。
どうしよ、こんなん神ちゃんに見せられへん。
流星と付き合ったばっかやのに。
どうしたらいい。
そや、照史。あいつなら可愛がってくれるし、
いや濱ちゃんか。
その方が優しくて、神ちゃんも心地よく身を任せられる。
「…じゃ、流星待ってるから」
「あっ、待って！なっ、まだ、飲も！！」
「…いい。」
立ち上がった腕を掴んでまた座り直させた。
バランスを崩して、俺に倒れ込んできたから
そのまま引き寄せてしまった。
「シゲ…？」
「ご、ごめん！！ごめんな！」
「んーん、…もうちょっとだけ」
「…っ、」
「嫌、よな、ごめんな、」
「あかん、離れんといて」
「のんちゃん…、可愛いから、お似合いやで、
いっつもカップル見たいって思ってた。
甘えん坊なのんちゃんは、シゲにひっつけて羨ましかった。」
俺の心臓に耳を当てたまま、ポツポツと話し始めた。
「…俺は可愛くないから、シゲに選んでもらわれへんかった。
一回でいいの、シゲに抱きしめて欲しかった、
のんちゃんみたいに、のんちゃんみたいにっ…、」
「神ちゃん、」
「名前、呼ばんといて、」
「ごめん、」
「…そや、仕事以外では関わらへんのやろ？」
「…うん、」
「じゃあ、今日で最後やね、」
「うん、」
「…シゲと話せてよかった、」
「でも俺神ちゃんの気持ち聞けてへん」
「俺はええの、もう諦めてるから」
「…好きやで、ほんまに。ずっと一緒にいたい」
「俺も、好き…。シゲが1番好き」
「帰らんとって、お願い。」
「…無理やって」
「今日だけ恋人にしてくれる…？」
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作者名：suta. | 作成日時：2023年6月30日 22時
