rd× 入れ代わり6 ページ39
「それもドッキリやろ、笑」
「えっ」
「上手やな、さすが俳優さんや」
神ちゃんはハイボールを一気に飲んで、また涙を溢した。
強く握られた拳は白くなっていて、
顔が赤いからこそ余計目立ってしまう。
「神ちゃん、飲み過ぎやって、もうやめよ」
「飲まなやってられへんもん…、苦しいの、」
「なあ、ほんまにごめんって、そうじゃないねん、」
「じゃあ何？俺と流星をひっつけて、
自分は好きなのんちゃんと付き合って、
せやのに、俺にはドッキリなんて嘘ついて、
何がしたいん？溜まってんの？」
「だから神ちゃんが、好きで、」
「意味わからん。」
そう言い放つと、俺を睨んでまた運ばれてきたハイボールを煽った。
顔が真っ赤やのに、いつもなら止めてくれる流星はおるのに。
「お願い、信じてや」
「わかった」
「ほんま？！じゃあ俺と付き合って欲しい」
「ごめんなさい」
「…うん、」
「誰でもいい人と付き合いたくない。
それに、」
「それに？」
「俺はあきらめるってきめたから」
「んんっ…」
唸り声を上げた神ちゃんの額をそっと撫でる。
白くてすべすべした肌。
俺がもう触れることはできひんから。
そっとキスをして、握られた手をそっと撫でた。
「んっ…ぅ、痛ぃ…」
右目からそっと涙が溢れて、眉間に皺を寄せた。
飲み過ぎたせいで、眠くなり、俺に倒れ込んだ。
すやすや寝ていたのもあって俺らは先に出て、
タクシーに乗り込んだ。
神ちゃんの家は知ってたから、
鍵だけちょっと拝借して、ベッドに雪崩れ込んだ。
上着を脱がして、好きな人の裸なんか堪らんけど、
嫌われてしまった今、ただ最後に目に焼き付けておきたくて
ゆっくり脱がして、起きひんように願いながら
パジャマに着替えさせた。
俺のせいでこうなったんやから。
「ごめんな」
最初から好きと伝えればよかった。
自分の気持ちに向き合えば、神ちゃんのそばにいれた。
神ちゃんを傷つけることもなかった。
そう言ってそっと手を離した。
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作者名：suta. | 作成日時：2023年6月30日 22時
