ともくんの6 (ページ32)

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「神ちゃん、」

「んー？」

「ごめんなっ、俺っ、」

「だいじょーぶよ、！俺もごめんね！
　あ、俺メイクそろそろしないとっ！」

「…」

メイク台に近づくと、着ていたTシャツを脱いで
いつものセットに取り掛かる。
バシャバシャと化粧水を塗りたくってる姿を
鏡越しに見ていたら、ふと目があってにっこり微笑んでくれた。

赤くなっている目は、俺のせい。

「お前が頼んだんやろ。神ちゃんに」

「え？」

「誕生日、わがままで振り回して欲しいって」

「いやいや！俺言うてへんで！」

「はぁ…ほれ、」

『なぁ〜、俺さあ、誕生日は、神ちゃんのわがままがいい！！

　おもっきり、振り回されたいっ！！んでぇ、困らせて！

　普段はラブラブな俺ら見せられへんから、

　みんなの前でなぁ、バカップルしよ！！見せ付けよ！

　一緒にぃ神ちゃんち泊まってぇ〜、朝までえっちする〜』

「な、なんこれ…」

「お前が飲み会で言うた奴や、奥の神ちゃん見てみ？」

画面の奥、俺の隣に座る神ちゃんは耳まで真っ赤にして
でも俺がもたれかかるのを必死に支えてくれてた。

淳太に携帯を返すと、横でキレた望はこっちも向かん。
最低や、とだけ言うとまた、そっぽを向いた。

あの濱ちゃんですら、呆れた顔をしている。

シゲが神ちゃんを慰めている間に、
必死にみんなに謝って、
でも俺らに言うんちゃうやろって怒られて。

「あと、これ、モンチから」

『明日は流星の誕生日やから、
　この間言うてたことしてあげたいねん。
　だから明日はみんな嫌な思いするかもしれへんけど許してな
　俺も明日は頑張ってみる！
　みんなも応援してくれたら嬉しい。』

照史が見せてくれた画面には、神ちゃんからのメッセージ。
昨日の晩送ってくれたんやろう。
そっか、俺今日誕生日なんか。

だから、あんなに…。
俺が頼んでたのに、あんな酷いこと言うてしまった。
謝りたくても謝り切れへん。

あんなに泣いてたのに、手すら差し伸べへんかった。

『神ちゃんがんばれ！』

『今度俺にも甘えて！！』

『笑望は甘えん坊やなあ、』

『うるさい！濱田崇裕！』

『へへ、ごめんね。俺流星のやねん』

『なにそれ、惚気？』

『うん。明日は、素直になってみようと思って』

『ええやん！応援してんで！』

『ありがとう〜泣なんか緊張してきたかも、』

こんなこと考えてくれてたのに、

早く神ちゃんに謝らないと。