ともくんの6 (ページ24)

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rd× ページ24

ここを開ければ、シゲがおる。
開けたくないっ…
でも開けないと、シゲに伝えないと、

「神ちゃん？」

「シゲっ、あ、えっと、」

「開け方わからへんの？笑ん、どうぞ、」

俺を抜かしてドアを開けると中に入るように促してくれた。
嬉しい、けど、こんな笑顔見たいわけじゃないのに。

「どしたん？トイレ？」

「んーん、」

「そ、先入るな」

「あっ…」

中に入るとすぐにシゲは扉を閉めた。
いつもなら、先入り？って開けてくれんのに。
そっか、恋人じゃなくなったもんな。

「おはよー、」

扉を開けるとソファに寝転がって、
眠りにつく準備を始めてる。
いつもなら、半分空けて、こっち！って呼んでくれるのに。
俺も自分のソファにカバンを置いて、携帯を取り出した。

「飲み物買ってくる」

シゲが立ち上がったから、思わず立とうとしたけど、
シゲは俺に見向きもせず出て行ってしまった。
いつもなら、神ちゃんも行くで、って言うて
いらんのに俺の分も買ってくれるのに。
こっちすら見てくれへんのか。

「おかしない？」

淳太の呟きでハッと顔を上げた。
きっと俺のことやろう。でもなんで言えば良いかわからんのと、
言いたくないのとで、つい黙ってしまう。
いつもなら、シゲがそばにおるから、口下手な俺の代わりに
淳太たちに返してくれるのに。

「そ、そう…？」

気づいていないふりをして、必死に笑って見せた。
帰って来たシゲは、一直線にソファに座って
買って来た飲み物の封を切った。

「シゲ、なんかあった？神ちゃんと遠ない？」

「あー、うん。俺ら別れたから。」

困ったように眉毛を下げて、歯を見せて笑った。
いつもなら、シゲは俺を庇ってなんでもないって言うのに。
喧嘩しても、言いたくないのを察して、
別にって誤魔化してくれたのに。

「うん、別れてん。」

「あー、そうなん、なんかごめんな。」

「んーん、大丈夫」

「おん、気にせんといてな、無理か！笑」

俺は別れたくなかったけど、心の中で言うくらい許してな。
だってまだ、シゲのこと好きなんやもん。

「神ちゃん、あんまシゲのこと好きやなかったもんなあ」

ぼそっと照史がシゲに言うた声が聞こえる。
好きじゃない、って…？
俺、ほんまに好きやったのに、…シゲもそう思ってたん？

「そう？神ちゃんも好きでおってくれてたと思ったけど…
　あ、もしかして恋は盲目とか！？」

いひひ、って笑って照史と肩を揺らして笑ってる。
シゲ、俺は好きやったよ。んーん。今もほんまに。