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「シゲ、?」

「あ、っ、えっと、神ちゃんっ、は」





「…ここには、おらん、」

「じゃあどこにっ、俺、」

「わからん、…俺らの電話もでえへんから」

「神ちゃん、俺のことになんて言うてた…?」

「…、シゲと、話したいって、
 ちゃんと伝えて、…お前に話したいこと、あんねんて、」

「さっき、話せたっ、やっと、お互いの話したっ…!!」

だから、ここで離れたくない。
神ちゃんと、もう一回やり直すんや。

「…でも、お前は他に行ったやろ。
 モンチはええんやと、お前が幸せならなんでも。」

「っ、でも、」

「でもやない!!…お前が、傷つけたんやろ、
 …モンチが、どんなけ辛い想いしたと思ってんねんっ…、
 2度と寄り戻したいなんて軽々しく言うな」

神ちゃんはほんまに俺とやり直す気ないんや。
イライラして、ほんで、勢いで、でも、俺が好きなんは、

…そんなん言うてもおそい、かな?


「「さっきは取り乱してごめんなさい。
  電話、あのことやんね。話せてよかった。
  俺はもう大丈夫やから、幸せになってね、
  今までありがとう。
  これからはメンバーとしてよろしくね、」」


嫌や、俺のせいや、でも、


「神ちゃんっ…、」

「どしたん…こんなとこで、」

「あの、俺」

「荷物?どうぞ、」

玄関を開けて一緒に中に入った。
行儀良く並んだスリッパは、俺のものもまだあった。
中に続いた廊下を歩けば、
お揃いのマグカップも、ソファのクッションもある。

「きょ、う、泊まっていいっ、?」

「えっ…あー、うん、喧嘩でもした?」

ふふ、って肩すくめて笑うと、キッチンに消えて行った。
慌てて跡を追いかけると、さっきまで並んだカップは消えていて
グラスに水が注がれてた。

「勝手に飲んでね、」

そう言うとテーブルにコトリと音を立てて置かれて、
カバンをかけに寝室に消えて行った。
帰ってくると、両手にはTシャツと半ズボン、

「着替えは、自分のある?ないのは言うてな、
 歯ブラシは新しいの卸すね、」

「なんで、そんな普通なんっ…、」

「えっ、だって、」

「俺は悔しいし、話したいことなんか山ほどあってっ
 神ちゃんから聞きたいことも、」

「だって、シゲには大切な人おるもん、
 俺が何言うたかって、意味ないんやもんっ…
 やり直したいなんて信じられへんよっ、












 だって俺、シゲの恋人ちゃうしっ…、」

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作者名:suta. | 作成日時:2023年6月30日 22時

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