rd× ぎゅってして ページ46
「しげ、」
「ん？」
「ぎゅってして」
「ん、おいで？ さみしなった？」
「うん、」
「ごめんな？」
「しげ」
「なに？」
「ぎゅってして」
「ん」
「…ちょっとさみしなった」
「ごめんな」
「しげおきてる？」
「んー？ぅん、」
「ぎゅって、して」
「はいはい、」
「…あり、がと、」
「…しげ、ぃま、いい？」
「えー、うん、なに？」
「ぎゅ…してくれへん？」
「ん」
「ごめんね、」
「な、なぁ、」
「なに？ぎゅー？」
「…ぅん、いい？」
「はい、どーぞ」
「ごめん、ありがと」
「…いってきます、」
「仕事？」
「うん、」
「そーなん？知らんかった」
「ごめん、」
「しげ、今日は、」
「疲れてるからぎゅーだけでいいやろ？」
「えっ、…うん、」
「ん、」
「ごめんね」
「…」
「もう寝んの？」
「うん、」
「おやすみ」
「ごめんね、おやすみなさい」
「神ちゃんとこっていっつも仲良いよな喧嘩とかせえへんの？」
「えっ、あぁ、うん、今はしいひんくなったかな」
グラスに入った炭酸を眺めながら淳太はつまみを掴んだ。
それを口に放るとにかっと笑って見せた。
「え？秘訣とかある？俺ら喧嘩ばっかでさあ、」
秘訣、なんてものはない。
ただ、俺がシゲに必要とされなくなっただけ。
シゲが俺を必要としなくなっただけ。
「…いいやん、喧嘩。大事やで、？」
「えええ、めんどいやん！俺は嫌や！」
「ないものねだりやなあ、ふふ、」
俺も笑いかけると淳太は楽しそうに酒を煽った。
「ってか今もぎゅってしてって、言うん？」
「え？」
「ほら！昔、よう言うてたやん。
シゲにいう口癖ってさあ！笑笑可愛かったなあ、」
「…そ、かな？ 言うてたっけ、はは、」
「言うてたよ！なあ、みんな！
神ちゃんといえばぎゅってして、やんな！」
「そうそう！可愛く言うねんよ！」
「シゲも鼻の下伸ばしてなあ！」
「あんなだらしない顔！」
みんなが口を開けて笑う姿をみると、
ここにいないはずのシゲが浮かんで気持ち悪くなる。
シゲは、今日も仕事。
だから忙しい。俺が甘えたいのは関係ない。
「ただいまぁ」
「ん、おかえり」
「えっ、はやかったんやな」
「えっ、神ちゃん、飲んできたん？」
「へ？そんなに、のんでへんで？ちょっとねむいだけ」
「…ちょっと、危ないって」
腕を引っ張られてシゲの方に思わずもたれかかった。
シゲの匂いがぶわって広がる。
「はなして、」
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作者名：suta. | 作成日時：2023年1月14日 14時
