rd× cover 4 ページ35
「神ちゃん」
「ん…、ごめん、俺また」
「んーん」
部屋の隅で丸くなった神ちゃんを流星が抱きあげた。
頭を何度も撫でて自分にもたれさせると
また神ちゃんはうとうとしては、ハッとして顔を上げた。
「眠い？」
「んーん、大丈夫、ごめんなあ」
「クマ酷いねんて、ちゃんと寝てんの？」
「ん…ゲーム、新作やってん、」
へへへと笑っても神ちゃんの嘘はみんな気づいてる。
でも本人は言わへんからみんな騙されたフリしてる。
…たった1人を除いて？
「仕事に支障出るくらい、ゲーム？アホやろ。」
「そやなあ、加減せなあかんなあ、ごめんね、」
「ほんま、やるならちゃんと仕事せえや」
「うん、ごめんね」
真っ赤になった目を擦って流星から起きると
扉に向かって歩き始めた。
ふらふらとおぼつかない脚付きでやっと掴んだドアノブに手を掛けて。
見かねた濱ちゃんが神ちゃんをさりげなく支えた。
「ジュース？俺も喉乾いてん！」
なんてそっと神ちゃんの腰に腕を回して扉を閉めた。
力なく笑ってた神ちゃんの目は視線が合わない。
「神ちゃん、どうしよう…俺のせいやんな、
淳太、病院連れて行ってや、流星も同期やろ？」
扉が閉まると泣きそうな声が楽屋に漏れた。
心配からかいつものハキハキとした声とは違いすぎる。
「…シゲ、そんなに言うならお前が行けや。
そもそもあんなにきついこと言わんでええやんか」
「だってそこまで言わないと神ちゃん行かへんやろ？
あんなに目の下にクマも…、痩せたよな？
寝られへんねやろ？これ神ちゃんに渡したって？」
紙袋？かな？淳太に押し付けた。
ガサガサと中を見ると、はあ、と淳太は溜息を吐く。
「シゲが言うたったらええやん」
「…俺じゃあかんねん。照史の言うことなら、聞くと思うねん
あのあとあいつらクビになってん。
神ちゃんに謝らせたかったけど、怖いやろうし…。
きっと今も寝れてへんねん。夜やったし…。
薬も最近飲んでるみたい。それかな、眠いのは。
小瀧お前明日休みやろ？泊まったってくれへん？
神ちゃん、ココア飲んだら寝れるねん。」
「シゲちゃんそんなに言うなら」
「俺やったらあかんねん。だから、頼む」
下を向いて俺らに向かって頭を下げた。
「望…？」
「わかった。」
「…ありがとうっ、神ちゃん助けたって」
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作者名：suta. | 作成日時：2023年1月14日 14時
