rd× お好きにどうぞ 7 ページ28
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どうしよ、泣かしてしまった。
好きな人を泣かせてしまったのは
初めてでどうしていいかわからへん。
涙を拭う？
抱き締める？
濱ちゃんを呼んであげた方が、
「…ごめん、めいわく、またかかるねっ、」
「あ、神ちゃ」
ごしごしと目をかいて唇を噛んだ。
泣いているのに無理やり頬を上げて笑いかけた。
「うしっ！帰ろ！今のは濱ちゃんに内緒にしててな！」
「神ちゃん！今日は一緒に帰りたい。
お願い、この間のことも、
これからのこともちゃんと話したい」
小さく頷いた神ちゃんは俺に背を向けて、小さく歩き出した。
その背中は丸くて、今にも消えてしまいそう。
でもここで逃げたら一生後悔する。
「神ちゃんっ、ひ、膝枕！！貸して！！」
「へ？えっ、あ、ぅん…？」
「やっぱ、神ちゃんの膝枕ええわあ、挟んで！」
「は！？/ な、なにゆーてんの！！あほしげ！！」
マネの車に乗り込んですぐ膝を借りた。
えっ、て小さく聞こえたけど無視。
神ちゃんは俺のや。
そう、言い聞かせてるみたいで。
「神ちゃん」
「ん？」
「ほんまにごめん。
あいつ、俺の元カノで、鍵持ってて、
家帰ったら来てて、帰ってって言うてたら、あの瞬間やって
ほんで、…俺、あの日、神ちゃんと過ごしたくて、」
「大丈夫、俺もごめんな」
向き合って座ってココアを啜りながら神ちゃんはそう微笑んだ。
「じゃあ」
「うん。気にしてへんよ。
いつも通りシゲは過ごしてくれていいから。
俺ももう濱ちゃんと、」
「なんで！！嫌や！」
「…俺だって、嫌やっ、
でも！シゲ、めんどくさいって言うたやんっ…！
無理して欲しくないもん！だからいいから！！」
「好きやねんて！だから、だからそばにいてや！」
コップを掴んだ手を慌てて握りしめて見つめ返す。
ハッとした顔で笑ってポロポロと涙を流した。
「…俺、絶対相手役はシゲが良かった。
嘘でもいいからシゲの恋人になりたかったから…」
隣に座り直してそっと手を握った。
初めて気持ちが通じて背中に腕を回すと体を俺に預けてくれた。
今までも幸せやったけど、
もっともっと幸せやってきづけた。
「…神ちゃん、俺と付き合ってくれる？」
「付き合うっ…恋人なるっ…！」
顔を埋めて俺に擦り寄るから顔上げさせてキスを落とした。
チューしてる時の顔ほんまにかわいいねん。
「…シゲ？」
「可愛い！！俺の恋人！！」
これからは俺の恋人。
誰にも譲らんからな。
fin
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作者名：suta. | 作成日時：2023年1月14日 14時
