rd× ちゅーして ページ3
「ただいま」
「あっ、お、おかえり！」
「ん？うん、ただいま」
「…、お風呂沸いてるよ、ご飯も！」
「まじで？ごめんな、神ちゃん。ダッシュで風呂入ってくる！
もう飯くった？」
「ん、んーんっ！待ってた」
「…？じゃあ、待ってて！」
「あっ、うん、」
今日も言えんかった。
シゲは治らんくなるからって言うて全然してくれへんなった。
明日も俺のロケがあるせいでもちろんお預け。
ちゅーして
それだけやのに、たったその一言が言えない。
色んな気持ちが邪魔して、俺らは今日もちゅーができない。
「…ちゅー、したい、」
ふうっ、てため息ついてキッチンに戻った。
どうせ今日も言えんくて終わっちゃう。
どうせならシゲと一緒にベッドに入りたい。
ちゅーなんかせんくていいからそばで寝たい。
「あがったよー、うわ、うまそう！」
「えへへ、シゲ好きかなって」
「ん、ありがと」
今ここでちゅーしてくれたらなあ。
「神ちゃん？」
「ん？」
「今日、変じゃない？」
「そう？」
「うん。隠し事あるやろ？」
「え？ないよ？」
ちゅーしてほしいなんか言われへん。
だってシゲ俺のために我慢してくれてんねんもん。
俺だって我慢するし。
「そっか。」
「うん」
はーあ、最近ご無沙汰過ぎる…。
体にも触れてもらわれへんし、手すら触ってない。ハグだって。
シゲは元彼さんと仲良かったしなあ…。
よく手繋いだり、デートしたり、ちゅーしたり。
でも、あんなに綺麗でスタイルも良くて美人で…
そんな人でも飽きられちゃうんやろ？
じゃあ、俺なんかじゃ全然あかんやん。
「かーみちゃんっ」
「あ、流星」
「どしたん？」
「んーん、なんでもないで？」
「んっか、神ちゃん最近恋でもしてんの？
よおため息付いてるやん」
「んー、まあ？流星は？」
「今度飲み会行くくらいかな？
シゲも行くねんけど、まあなんか合ったらええなって感じ！」
飲み会？なんの？
なんかあったら、って…？
「また報告するわ〜」
「うん、楽しみにしてる」
シゲ行くんや…。俺は知らんぷりするしかないよな。
行って欲しくない。けどそんなこと言えるわけないし、
引き止めたって代わりになんかできるわけないしな。
また前の人みたいに綺麗な人に会えたら
シゲはそっちに行けるんやろうし。
「…シゲも、いい人見つかったら、」
俺、さよならしなきゃ
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作者名：suta. | 作成日時：2023年1月14日 14時
