ともくんの3

rd× いちごのケーキ ページ45

「しげ、これ」

「また？神ちゃんこればっかやん」

「いいねん。これがいい」

「はいはい、じゃあこれね」

2人で眺めてるスマホにはクリスマスに向けてのケーキの画像。
サンタが乗ってないとあかんとか、
クリスマスのやつがいいだとか、わけわからんこと言うてるわ。
まあそんなわがままな恋人もええんやけどね。

「クリスマスプレゼントは今年もなしでいい？」

お互い好きなもんを買おうってことで毎年ないプレゼント。
最初は買うてあげてたり、
交換してたけど、付き合いも長くなればそんなんもない。

「ん。」

頷いたと同時に検索画面をオンラインショップに切り替えた。
ランニングする時のパーカーを買い替えたいのと、
夜走るための明るいスニーカーが欲しい。

「んー！これかなあ、」

ちょっと高いけど、ええ色やし、デザインもこれがいい。
まあクリスマスやしな！買っちゃえ！！

「シゲそれ買うん？」

「え？あーうん。」

「俺も欲しい」

「え！？なんで？！神ちゃん走らへんやん！」

「そやけど！！もういい！いらん！！！」

ほっぺた膨らませてドシドシ言わせながら部屋を出て行った。
いやいや、ほんまのことやん。
しかも今までこんなん欲しいとか言わんかったくせに。

最近ようあるんよなあ、
シゲと同じのがいい！って駄々こねたり、
同じのにするって言うて、結局多すぎて食べられへんかったり、
服も同じの買ってきて2人で被って出勤したり、

なんか変よなあ…

なんてぼやきながら部屋を覗くと何やら雑誌を開いてるみたい。
そっと近づいて覗き込むと神ちゃんの可愛い字で付箋が
びっしり埋まってる。

『好きな人に振り向いてもらえる方法』…？

『一緒のものを好きになる』

『同じものを食べる』

ん？なにそれ

『わがままになって少し困らせる』

そういや、ここ最近極端に我儘になったっけ。
それでも俺がはあ、って溜め息つくとやっぱいいとか
よくわからんかったんよな。もしかして、これ？

『クリスマスプレゼント おすすめリングTOP5』

『今年は絶対買う！！』

なんてピンクの付箋にわざわざ書いてある。
あれ、外すん？
神ちゃん欲しいならほしいっていえばいいのに。
そこで我儘、には繋がらんとこが可愛いなあ。
無理しちゃってたんやね。

「…来年買えばいいし！」

くしゃっと丸めた付箋を握りしめて小さく呟いた。
ぺらっとめくったページにはスポーツブランドのアウター

『シゲに似合う！』

『シゲは黒かなあ』

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