rd× すれ違い7 ページ44
「んっ…」
指がサラサラと髪をすくのを感じてそっと目を開けた。
「おはよ、とも。まだ寝てていいよ」
「ん…だいちゃ、ぎゅーしよぉ」
「うん。おいで」
暖かい体に包まれてまた眠りにつく。
優しいだいちゃんの顔。トレーナーをそっと握ると
そばにいてるってわかって安心する。
…だいちゃん、
…ん?
慌てて目を開けると逞しい腕に頭を置いて寝ていたらしい。
そういや腕枕してくれてたっけ。
慌てて起き上がるとシゲはまだ寝ている。
なんや、夢か。
もう起きよっと、今日ほんまは休みやけどシゲも休みやし
黙っておくのが正解やろ。
「…起きたん?」
「わっ、びっくりした…、」
「おはよ、神ちゃん」
「ん、おはよ…、ご飯してくる、」
「…朝飯いらんよ、」
「…あ。そやった、ごめん」
「だから」
「着替えて帰るね」
「…うん」
早く帰れってことか。危ない危ない。
今は恋人じゃなかったの忘れてた。
「…今日何時に終わる?」
急に掴まれた腕にびっくりして顔を見ると不安そうに眉を寄せた。
ぎゅっと唇を噛み締めてまるで犬の様に耳が垂れて見える。
「…わからんの」
「終わったら教えて、迎えに」
「なあ、なんなん?昨日から。
シゲ、俺らはもう終わったやんか。
いつまでも恋人の真似やめてよ。」
「ごめん…」
掴まれた腕が離れると自分の言ったことを後悔した。
はっきりと言われたわけじゃない。
別れたのか別れてないのか俺もあやふややった。
でも、シゲの中に俺は消えてるんやから終わったも同然。
「俺、ともが好きやねん。
寂しくさせてたのも、嫌な思いさせたのも悪いと思ってる」
「…してないよ、大丈夫。だってあれは仕事やんか」
「仕事より…ともの方が大事に決まってるやんか
あの時は気づかんくてごめん。
ちゃんと別れよか。今まですがっててごめんな
朝飯もありがとう。一緒に居れる時間嬉しかった。
泊まりに来てくれてそばに感じれてよかった。
風呂、一緒に入らんくてごめん。
…俺、神ちゃんの料理好きすぎて、唐揚げ他の食えんくなった
見てや、この神ちゃん、かわええやろ…俺のやってん…」
「しげ…」
俺に見せつけた写真は一緒にご飯を食べて満面の笑みの俺。
確かシゲがご飯作ってくれて…あぁ記念日の写真か。
苦手やのに揚げ物作ってくれて、一緒に過ごしたんやった。
俺も待ってるよその時の写真。
「神ちゃん、別れよう」
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作者名:suta. | 作成日時:2022年9月18日 10時