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rd× となりで8 ページ5

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「…うん。大好きやで」

「そっか、よかった、じゃあ起きたし俺行くわな」

「待って!」

「…一緒に行く?」

「えっ、あぁ、…うん」

立ち上がったシゲより先を歩いた。
いつもみたいに後ろを歩けば、
その手に触れてしまいそうやったから。
その背中を抱きしめてしまいそうやったから。

「神ちゃん」

「なあに?」

「最近、よく笑うな」

「そうかなあ」

「…うん。綺麗や、」

「そう?肌のケアも頑張ってるからかな、」

「…触っていい?」

「えっ」

振り返るとシゲがゆっくり俺の頬に手を伸ばした。
優しく撫でられて、二人の時間が一気に蘇る。
泣きそうな顔をしながら俺の頬を撫でて、
男らしいてやのに、シゲの優しさがどんどん伝わる。

「神ちゃん、」

「ん…」

「…好き、」

「…っ、ふぅ…っ、ぅっ、」

「泣かんといて」

「こんなとこじゃ、見られちゃうで…?」

「…」

俺の手に白い手を重ねてそっと下ろさせた。
涙を自分で拭って、ニコッと笑って見せた。
目は赤い。きっとみんなは泣いたことに気づくやろう。
俺はもう触れられへんのに。

「さ、行こっ」

俺に背を向けてすたすたと進んでいってしまった。

「神ちゃん!どしたん!」

小瀧がすぐに寄ってきて神ちゃんの顔を覗き込んだ。
ちゅーするんちゃうかってくらい顔近づけて
頬を撫でたり、目を見たり。
また俺、怒られるんやろな

「目にゴミが入ったん、」

「ええっ、大丈夫?」

…言えばええやん。
俺のことなんかもう庇わんでええんやから。

「もう平気よ?」

「…ぇょ、」

「ん?どーした、しげちゃん」

「言えばええやんけ!!」

突然の大声にみんなが振り返った。
当の本人はまた涙を溜めて俺を振り返る。

「シゲっ…やめてっ…」

「なんで隠すねん!!
 俺に触られて嫌って言えや!!
 俺のせいで泣いたんやろ!?」

「ちょ、シゲちゃんっ…」

濱ちゃんに抑えられて振り解いて
涙をこぼす神ちゃんに歩み寄った。
小瀧が不安そうに俺と神ちゃんを交互に見る。

「ごめっ…言わないから、もう、やめてっ、」

「言えばええやろ!?なんやねん!」

俺が怖いのか溢れてくる涙を無視して俺に触れようとする。
そんなに嫌なら触んなや。
そんなに、傷付いたなら幸せそうな顔すんなや。

「おい、シゲやめろや、」

「もんち、こっちおいで」

俺が嫌なら嫌って言えや
なんでいっつも我慢して、そんで…
俺がわからんとこで泣くねん。
俺の前で、なんで

「なあ」

「もうやめて!!!!」

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作者名:suta. | 作成日時:2022年9月18日 10時

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