rd× となりで7 ページ4
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「神ちゃん、これ」
「わ、ありがとう!食べたかってん!」
「やと思った、こんなん好きそうやもん」
「さすが淳太!折角やし一緒に食べよ〜!」
鞄に入った全く同じお菓子から視線を逸らして
もぐもぐと淳太と美味しそうに頬張る神ちゃんを見た。
…可愛い。
愛おしい気持ちが溢れる。
この手で離してしまったことに後悔しながら
離してしたから、あの笑顔がまた見れると言い聞かせた。
「あれ、シゲちゃんもこれ買うたん?」
俺の鞄を覗いて濱ちゃんが俺の隣に座った。
「えっ…あぁ…」
「神ちゃーん!まだこっちにお菓子あんで!
なんやシゲちゃん買うてたみたいや!」
「違う!これは渡すねん。
神ちゃんなんかにやらんわ!」
「ひゃー!照れ隠しですかー?」
みんなに揶揄られて、ひっついてきた小瀧を引き剥がす。
別れても尚そのいじりは健在なんか。
ぎゅっと半分残った菓子を握りしめた。
「淳太ので充分やろ」
「あ、うん、」
わしゃわしゃと小瀧の頭を撫でてやった。
んちゅーって唇を尖らすから、照史とにやって笑って、
押さえつけて特大のキスをお見舞いしたった。
「うわあああああ!死んじゃうー!」
「ははははは!汚っ!!」
「いけ!照史!!」
なんてふざけて気を紛らわせる。
淳太の隣が似合う神ちゃんなんか
濱ちゃんと仲良くギターを弾く神ちゃんなんか
照史と一緒に料理する神ちゃんなんか
小瀧とひっついて恋人かよ。
流星とはお似合いやんな。だって顔が好きなんやから。
そんな邪念を頭を振って忘れる。
淳太に頭を撫でられながら、美味しいって頬張って
その隣は俺やったのに。
「神ちゃん、美味い?」
「うんっ、シゲありがとう」
「俺もいいの?」
差し出された食べかけを俺に向けてんっと首を傾げた。
口元に近づけるからゆっくり頬張ると
間接キスやな、なんて笑った。
恥ずかしそうに体をくねくねさせてまた俺に寄り添った。
二人だけの時間が幸せやった。
「シゲ?」
「…」
「シゲってば!」
「へっ、あ、ごめん、何?」
「みんな行ったよ?」
気づけば誰もいない楽屋。
待っててくれたんやろか、部屋には神ちゃんだけがいる。
ゆすられていた手は離されてまた菓子を握りしめた。
「まだ食べてんの?」
「…ごめん、もう食べ終わる」
「あ、いや…そうじゃなくて」
「これ、美味しいよな。シゲも好き?」
鞄を覗いて俺を見て笑った。
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作者名:suta. | 作成日時:2022年9月18日 10時