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rd× 大好きやから続7 ページ22

「黙っていてすみませんでした。」

「…なんやねんそれ、」

「誕生日、流星たちがシゲよんでん。
 神ちゃんも連れてくると思ったから。」

「そうやったんですね。楽しめてよかったです。」

「でもおらんかったんやろ?一緒に。」

「…はい。でも早く帰ってくるって言うてたんで
 どこかでみんなと飲みに行くと思ってました。」

「だから焦ってのんちゃんが電話しても切られたって」

淳太さんがそっと俺に腕を回してくれた。
泣いてくれてる…。俺の代わりに泣いてくれてる…。
そっと抱き締められて、
いつから重岡さんに抱きしめて貰えてないんやろってふと思った。
する時以外は触れ合うことなんかないからだいぶ前か。

「…神山、ごめん。俺、プレゼントもほんまに」

「プレゼント、たくさん貰ってましたね。
 …俺なんかの要らないじゃないですか。」

「いるよ、お前のやもん、欲しいって」

「無理しないでください。
 お弁当だって俺が作らなくても作って貰えるじゃないですか
 お菓子だって、俺と食べなくてもいいんじゃないですか?」

そっと離れた淳太さんが俺の頬をそっとなぞって、
また目を指で何度もたどった。

「…俺、大丈夫です。みなさんありがとうございました」

「大丈夫じゃない!!!」

大きな声を上げて、俺の頬を両手で挟んだ。
涙でいっぱいになった淳太さんの声が震えている。
泣かんといてよ。俺、俺我慢したのにっ…、

「ふっ…ぅ、ひっく…、ごめ、ん、なさぃっ…、」

どんどん流れていく涙は淳太さんの手を濡らして、
俺のスーツにポタポタと落ちて行った。

「…、だぃ、きさん、帰ってこんくてっ、
 でも俺、帰ってきてとか言われへんから、我慢っして、
 おべんとうも置いて、るからいらんのやなって、
 女の子、がすきならおれ、いらんからっ…っ」

「神山…、」

「俺、一生の…っお願いつかっちゃっ、たんですっ、
 あの日抱きしめて、もらった、からっ…!
 だから、もうお願いなんか、でけへんくてっ…、」

「そんなん言えばええやんけ、なあ!」

腕を引かれて大毅さんに倒れ込んだ。
せっかくのスーツに涙の跡がつく、体を離さなきゃ。
そう思うのに大毅さんから離れたくなくて
久しぶりなのが嬉しくて、どうしても離れれない。

「神山」

低い声で呼ばれて、ふと我に帰る。
ゆっくり顔を上げれば情けなく眉毛を下げてまつ毛を濡らした。

「重、岡さん…」

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作者名:suta. | 作成日時:2022年9月18日 10時

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