rd× 大好きやから続6 ページ21
「ごめん」
座ってすぐに頭を下げたのは重岡さんやった。
俺はなぜか落ち着いてその言葉を受け入れれる。
「いえ、謝られることは特にないので」
「だって、誕生日っ、」
「それなら自分から言いますよ。
言わないってことは、気にしてないってことです。」
2人が審判のように間に入って俺らを見つめるけど
買ってきてくれたコーヒーを口に含んではため息を溢した。
「…俺の誕生日だって、用意してくれてるの気づいた。
冷蔵庫に俺の好きなもんばっか入ってて、
ケーキも、プレゼントも、」
「早めに食べないとダメですもんね。
作り過ぎてすみません。傷む前に捨ててください。」
お砂糖を追加してコーヒーをすする。
ミルクを多めに足したから甘いはずやのに、顔が歪んでしまう。
「ちゃんと、食べた！…でも、ケーキ」
「甘いのお嫌いでしたよね。重岡さん」
「お前と食べたい」
「…わかりました。」
「ん」
話し合いが終わったからか間の2人の方を向けばポカンとしている。
いや、呆れてるんかも。
「え、終わり？」
「はい」
「いやいや、神ちゃんなんも言うてへんやん！」
「なんならそれなんの解決なん？」
「…重岡さんには謝りました。
許してもらえたのでケーキ食べるんですよ。」
「いやいやいや！神ちゃん悪ないやん！
2人の誕生日すっぽかして遊んでたんやろ？
神ちゃん怒ってええよ！」
シゲを指差して淳太さんが俺の顔を見た。
別に謝って欲しいわけじゃないし、
もう気づいて欲しい気持ちなんかとっくになくなった。
ただ、俺が1人で処理しきられへんかったから。
「…」
「でも俺は知らんかったし」
「何言うてるん。恋人やないん？
実際神ちゃんは知ってたやん！！」
「いいんです。俺が言わなかったので」
砂糖の袋を何度も伸ばしたり広げたりを繰り返す。
そんなことしたって何も変わらない。
でも、そうでもしてないと泣いてしまいそうになる。
ほんまの気持ちが溢れてまうから。
「神ちゃん、舞台の話もしてないん？」
「…予定があったみたいなんで。」
「じゃ、じゃあ、流星から揃いで貰ったアクセサリーは！」
「…あまり、そういうのはつけたくないそうです。
それに…会社にもしバレたら、周りの女の子が傷つくので」
流星から貰ったピアスにはもう一つ箱があった。
ピアスが開いてへんからってネックレスを貰った。
それがほんまに素敵で揃いで付けたくても、
デートもないし、アクセも好きじゃないみたいやから。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 252人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：suta. | 作成日時：2022年9月18日 10時
