rd× 大好きやから続5 ページ20
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「おい!!神山!!」
淳太さんとあっくんが取ってくれた会議室で
一緒にランチタイムを過ごして居たら、
突如ドアが開いて振り返ると重岡さんが飛び込んできた。
「はい、」
「なっ、…弁当、お前、俺の分は」
「すみません、まだ食べてないのでこれ、どうぞ」
まだ手をつけていない弁当を慌てて包んで差し出した。
淳太さんとあっくんはキョトンとした顔で俺と重岡さんを
交互に見ては2人で顔を合わせている。
「…じゃなくて、こんなんいらんねん、お前っ、」
「…すみません」
こんなん、か。弁当を下ろして泣くのをグッと堪えた。
わかっててもいざ言われてしまうと悲しくなる。
「なんでこんなとこで飯食ってんねん」
「…2人にお礼で、こんな弁当ですが食べてもらってました。」
「こんなとかそんなん言わん取ってよ。もんち」
「俺めっちゃ神ちゃんの弁当好きやで?
美味しいし、それに神ちゃんと食べるの楽しいし」
「…気を遣わせてしまってすみませんでした。」
優しい2人はどこまで俺に甘いんやろう。
そんなんいいのに。俺が勝手にしてるだけやし
「…なんで言わんかった」
「すみません。お昼休みは別々だったので言わなくていいかと」
「ちゃうわ。」
「あ、急用が出来たので、実家に帰りました。
…すみません。黙って出て行って」
「えっ、神ちゃん、家でたん?」
「…はい。ちょっと、」
「違う」
低く、顔を見なくてもわかるような怒っている声が
小さな会議室に響いた。
目を合わせると拳が震えるくらい怒っているようで
言葉を続けるのが少し怖くなってしまった。
「誕生日。お前過ぎてるやんけ」
「…は、誕生日ですか?わざわざ言いませんよそんなこと。」
「お前っ!…俺とは過ごす気がなかったんか?」
「…別にいつでもいいじゃないですか。
重岡さんもお誕生日、俺と過ごさなかったでしょ?
そもそも重岡さんだって俺に言わなかったじゃないですか」
「お前は知ってたって言うんか?」
「…知ってますよ、恋人の誕生日くらい」
俺の精一杯の嫌味。
俺は知ってたもん。でも知らないふりしてたの。
「なんやねんそれ。なんでっ…、くそっ!」
「こんなとこで2人の邪魔になります。出ましょう。」
「もんちストップ!」
「はい、」
「ここで話して?ええから」
「…はい」
座るように促されてこの場から逃げられなくなった。
全部言わなきゃ、…たとえもう終わったとしても、全部。
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作者名:suta. | 作成日時:2022年9月18日 10時