ともくんの2 (ページ19)

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rd× 大好きやから続4 ページ19

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『ごめん、飯食いに行くから遅くなる』

目の前に並んだ大毅さんの好物にラップをかけた。
ラップをかけても水滴すらつかないのは冷め切った証拠。

お誕生日やもんね。
俺と過ごさないといけない理由なんかないし、
そもそも一緒に過ごす約束なんかしてない。

俺が勝手にやっただけ。

もうこんな時間やったんや。
買ってきたケーキを崩れないように片付けて
プレゼントをテーブルの上に置いた。
今日のために書いた手紙を破り捨てて、新しいカードを取り出す。

『『誕生日、おめでとうございます。

　仕事頑張ってくださいね神山』』

プレゼントの下に置いて部屋の電気を消した。
広いベッドに1人で寝転がるといつもより寂しく感じる。
俺は男やし、特別なんかじゃない。

…けど、何度も着信が聞こえる携帯にもしかしたら
大毅さんかもって、期待している。

違うんやけどな。

「はい、」

『神ちゃん！？今どこ！！』

「どこって…家やけど？」

『なんで？シゲと一緒じゃないん？』

「重岡さん、今日は帰ってこうへんよ？」

『は！？どう言うこと？！』

「ごめんね、俺もう寝るの。おやすみなさい。」

『ちょ、神ちゃん！！』

溢れてくる涙を無視して布団に潜り込む。
たまには俺を見てくれてもいいのに…。

元々大毅さんは俺に興味がなかったから。
そんなんわかってるけど、やっぱり悔しい。
女の子と話すとこ見せられたら、俺は勝たれへんし。
せめて今日は帰ってきて欲しかった。
だって明日…また休みやんか。
土日出かけたかったのに、2人で過ごしたかったのに。

俺の気持ちなんかいつでも後回しなんや。

そう思ったらいてもたってもいられなくなって、
リビングに置いてあるプレゼントをカバンの中に戻した。
あっくんからもらったブルドッグのぬいぐるみ。
ぎゅっと抱きしめると大毅さんの腕にしがみついているみたい。

「大毅さんっ…、」

ここへ引っ越したときと同じように
キャリーにスーツと靴と着替えと何日か分の用意を詰めて
今から泊まれるホテルを検索する。
まだまだ空いてる。
なんならカプセルホテルでもいいし。

気がつけば俺はタクシーに乗って、会社近くのホテルへ向かって居た。