rd× ドライヤー ページ2
きょ、今日こそ、ドライヤーしてって言うもん!
ほんとは自分で丁寧にかけたいんやけど、
シゲがソファ座ってるとこにラグ座りに行って、
ドライヤーしてもらう！
のんちゃんが流星がいっつもしてくれるって、
嬉しそうに話すの聞いてたら、俺もしてもらいたくなった…。
でもシゲ自分のすらせえへんのに、するわけないよな。
「神ちゃーん、アイス食おー？」
「あ、うん！」
洗面所でちんたらしてたせいで
シゲが心配してくれたんかアイスを用意してくれた。
急いで戻ったせいでドライヤーを片手に持ったまま。
座ってから置き場に困って、また戻しに行こうとすると
シゲが不思議そうに俺を見つめた。
「シゲ、どしたん？」
「んー、神ちゃんの濡れた髪も綺麗やなって」
「へっ…、あ、これ？もう傷んでるけどなあ、」
「そうなん？触らせて？」
シゲの右手が伸びて俺の毛先をくるくると指で遊ぶ。
簡単にしか拭いてない髪からはポタポタと雫が垂れた。
「…っ、ん、」
「あ、ごめん。はよせな風邪引くな。」
そう言ってパッと手を離すと
俺が持っていたドライヤーに手をかけた。
「ん、座り？」
「へっ…」
「したげる」
ソファに座って膝をポンポンと叩いたシゲに
嬉しくなって、思わず飛び込んだ。
「んも、急がんでもええのに、」
そう笑いながら髪をわしゃわしゃと撫でるシゲに
嬉しくて頬が緩みっぱなし。
鼻歌混じりに体を揺らしていると
パーマを指で戻すかのように柔らかく指を動かした。
「気持ちええ？」
ドライヤーの音に負けてないのに、
優しい声が聞こえて、こくんと頷くと
また指で髪をすきながらドライヤーの音がした。
目の前に置かれたアイスのカップが水滴まみれになって
ご丁寧にスプーンまで置かれてたから、
これは食べないとって蓋を開けた。
いい感じに溶けてて食べごろになったチョコレートアイスを
スプーンですくって頬張る。
「おいひぃ〜♡」
「ん？なんて？」
テレビに夢中で気づかなかったのか俺の声に耳を傾けた。
後ろを振り返ってアイスをすくい、風に飛ばされないように近づけた。
「ん、ありがと」
アイスを口に入れた後、冷たい唇で俺の頬にキスを落とした。
今日はなんでこんなに甘やかしてくれるんや！？
なんかあったっけ？？
なんで首を傾げていたら
「もう、前向いて」
そう言われて慌てて体を戻した。
でも甘やかされて嫌な気はせんし、今日は嬉しいなあ〜
「えらい、ご機嫌やな」
「シゲ、ありがとーな」
fin.」
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作者名：suta. | 作成日時：2022年9月18日 10時
