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赤
あー、くそ。
ちゃう。ちゃうねん。
こんなとこで言い訳してもらちあかん。
わかってる。でも。でも。
「もー、電話したら?」
亮に諭されてもイライラするだけ。
「つか、他の奴らは?」
「上2人がベロベロで丸が引き取って帰ったよ。
つーか!おーくら!なんしてんすか!」
なんで、しょーちゃんと、
あー、こんかったらよかた。
つーかふたりでのみたいってなに!?
ボソボソ携帯に向かって呟く声が聞こえる。
「なんや、お前もか。」
ぼって音を立てるくらい赤くなった顔。
口をパクパクさせて思うように声が出てない。
「いやっその、えーっと、あは?」
照れ隠しにニカって笑ってこっちを見る。
「や、あの、優しくて素敵じゃないすか。
お、おーくらって…/」
恥ずかしいんか耳まで真っ赤。
可愛いなあ。いや、や すの方が可愛いけどな、
「…俺もいきたかったな。」
そう言って携帯を見つめる亮はどこか寂しげで。
指でそっと画面をなぞる。
あれ、それって…。
「もしかして、それ…おーくらか?」
「…うん。可愛いでしょ。寝てるんすよ。」
寝顔を撮ったんかおーくらが
気持ちよさそうに寝てる。
「お前らつきおーてたんか。」
すると慌てて首を大きく振って否定する。
「そっ、そんなんじゃなくてっ…!
俺ら、いや、俺が勇気ないから…。」
だから、振ったんすよ。俺。
付き合えへん。って。
「もちろん清い関係すけどね!」
少しぎこちなそうに笑う亮はせっかくの男前が
台無しになるくらい無理して笑いよる。
きっと亮は好きなんや。でも、勇気がでんだけ。
「…それに、俺なんかより
しょーちゃんの方がお似合いかもしーひんし。
たまに思うんすよ。俺じゃない方がいいって。」
俺も思うよ。俺じゃない方がいいって。
でも俺はそれ以上におりたいから。
あいつと、一緒におりたいねん。
「俺もやな。」
「え?」
「俺もや すが好き。
せやから、おーくらに取られるん嫌やねん。」
「でもしょーちゃんなんで帰ったんすか。」
「それは…、それはわからんけど
たぶん、俺のヒナからの電話が
好きな人からやと思ったみたいで、
しんどいから帰るって言うから送ろう思ったら
お前が玄関におって…ほんで、誤解?的な?」
もう笑うしかない。
でも、ほんまのことやから。
「えっ、じゃっ、俺まずかった…??」
「おん、もうめちゃくちゃな!」
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作者名:suta. | 作成日時:2021年3月21日 2時