◯ ページ39
赤
…何で俺やねん。
なんで俺だけやねん。
そんなに嫌やったんやろか。
何があかんかったんやろか。
亮「す…くん！す ばるくん！！」
す「お、おん…悪い、酔うたんかな。」
もおーなんて言いながら
綺麗な横顔見せてカクテルをぐいっと煽る。
その酒確か、好きやったなあ。
俺の色やねん、ってにこにこしてたっけ。
綺麗でしょって笑いながら
俺にグラスを押しつけて、飲んでみてって。
上手いなって言えば、ふふって目を細めて。
す ばるくんには甘すぎた？って悪い顔して。
透き通るブルーが似合う、可愛い俺の好きな子。
薄暗いバーやのに少しの照明でも
きらきら反射して、それが目に映る。
最近は俯いて、あまり話さなくなった。
俺もおーくらや丸と仲良くしてるこいつが嫌で
避けてたし、連絡もせんかった。
こんなんなるならもっと会えばよかった。
そばに居れば良かった。
亮「もー、聞いてんの？す ばるくんてば！」
す「…あぁ、悪い。んでなに？」
亮「好きな人！おんの？って」
おるよ、お前が今持ってるカクテルが似合う、
負けんくらいきらきらした笑顔の、
可愛いやつや。
す「おるよ。」
亮「え！誰！」
す「それは…」
？「わ！りょーちゃんやん！ってす ばるくん！！」
え？振り返るととへらへら笑ったおーくらと
陽気な顔した丸がおった。
亮「もー！ええとこやったのに！
ってかどしたん？」
大「いやな、ちょっとでもや すが
思い出せるように回ってんねん〜」
2人の後ろから罰悪そうにお辞儀をした。
他にも忘れてたもんがあるんか。俺以外にも。
丸「みんなでよく行く飯屋いって〜、
す ばるくんの行きつけのバーに来ましたあ！」
す「別に、思い出さんでもええやろ。」
俺のことを忘れたかったんかもしれへん。
だからええやろ。無理に思い出しても、
安「そ…か。あ、邪魔してごめんなさい！
えっと、その、帰ります！じゃっ！」
お辞儀をして逃げるように店を出た。
それを追いかけるようにして亮が行く。
2人は酔うてんのかヘラヘラしたまま。
はぁ…またあんな言い方。
実際、忘れてんのは俺だけや。
よかった、俺で。
他のやつやったら問題やろ。
俺を忘れるのには訳があるはずや。
さーて、こいつら起こすか！
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作者名：suta. | 作成日時：2021年3月21日 2時
