◯ ページ27
青
名前、呼ばないで。
もっと呼んで欲しくなるから。
この部屋で俺の名前を呼ばないのは、
見ないのは、
キスしないのは、
俺じゃない誰かがおるんやろ？
す「…ごめん。」
安「俺、す ばるくんとおれるんやったら
なんでもよかってん。
こんなんだって思い出になればいいと思った。
でも…何回も呼んでくれるから、
顔が見れんくても、キスしてくれんでも
俺でいいなら、役に立つなら…っ」
あの日やって、誘ったんは俺からみたいなもん。
抱いてくれて嬉しかった。
でも朝早く帰ったのはなんでなん？
好きな人やないって目が覚めたん？
安「ごめんね、俺、我慢できなくなったの。
好きって言いたくなっちゃったの。
だから、だから、ごめんね。」
恋愛感情なんか抱いて最低や。
ちゃんとするって決めたのに。
ごめんね、
す「じゃあ、好きな人って…」
安「す ばるくんのことやってん。」
あ、怒られる。そう思った
と同時にぎゅっと目を瞑った。
でも頬に手が当たってゆっくりキスされた。
どして…なんでなん、す ばるくん。
途中から顔あげて目線を窓に映した。
反射越しにす ばるくんが見える。
俺を見てる、でも、俺は見ない。
一緒に外を見る暇なんてなかった。
いつもこの部屋。
それでも俺はここが嫌いになられへん。
ここに行けばす ばるくんに会えるから。
実はこないだ丸が好きって言うてくれた。
なかなか男にないやろ？
でも、嬉しかった。
だからもう終わろうと思う。
いつまでも俺がそばに置いてていい人じゃない。
俺の大好きな人は幸せにならな。
でも、なんでなん…。なんでそんなことするん。
俺、やっと決めたのに。諦めようと思ったのに。
す「俺も好き。」
安「えっ…今、すきって．」
す「おん。俺の好きな人.…ずっとお前やねんで。」
えっでも目合わせへんし、先に帰るんは…
それに、冷たいのは…？
安「でもっ、ほかにおるって…」
す「おらん。でもお前はおるやろ？
だから困らせたくないし…
一緒におったら好きって言うてまいそうで。」
安「じゃあ、じゃあっ…
俺、甘えていい…？
えっちしてても顔見ていい？
名前呼んでいいの？ギュってしていい？
も、もぉ寂しい思いしなくていいっ…？」
す ばるくんが困るのわかってるのに最低や。
でも聞きたかった。確かめたかった。
す「…や す、ごめん。
ええよ、むしろ顔見せて。
俺だけ見て。」
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作者名：suta. | 作成日時：2021年3月21日 2時
