◯ ページ16
赤
「せっかくやけど、ごめんなさい。
言ってくれてありがとーね。」
「えっ…でも。」
「ごめんね、俺そういうの興味ないねん。」
にっこり笑って涙を流すや すは
苦しそうにも見えて悲しそうに見える。
「…それでもいいからおりたいっていうても?」
「す ばるくんにはもっといい人おるよ。」
きらきら笑顔を見せて俺から離れて行く。
ふと見えたおーくらの跡。
「…おーくらが良くなったか?」
「ううん。あ、おかわり入れよっか?
俺、そろそろ丸のとこ行かなあかんし…」
おーくらたちはうまくいったんやろか。
俺の好きな人は今から丸のとこへ行ってしまうのに。
次のやつの家まで送らなあかんのか。
少しでもおりたい。でも離さなあかん。
「…送るわ。」
昨日意地でもや すたちについていけばよかった
亮に言われて電話すればよかった
泣いてる顔を無理矢理でも拭けばよかった
帰らさんと泣き止むの待てばよかった
あんな電話でえへんかったらよかった
もっと前に言うておくべきやった
こんなに後悔するくらいなら、
さっさと言うて嫌われてしまえばよかった。
「なあ、や す。」
上着をソファにかけて準備を始める。
もう出る用意ができたんかな。
携帯を覗くや すに近づいて、唇を重ねる。
「な、ど、…どしたん?」
「首…」
「え?」
タートルを少し下げて跡を舌でなぞる。
あれ、ここにもある。ここも…
こんなにつけられて、なんや、悔しいな
「んんっ…/ ぁっ、/ ちょっ、/」
気づけば舌這わせて上書きするように
強く吸い付けば、さっきより濃い跡が残る。
「ちょっと…っ、なにしてんのっ、」
「…好きやから、もう離したくないから。
好きやねん、お前が。」
首元を押さえて俺を睨みつけるように見る。
でもその目は涙で濡れてるけど
でも、それは、
「…俺、すぐ泣いちゃうよ?」
「え?」
「ヤキモチ妬くし、わがままやし…」
「そんなん可愛いから許す。」
恥ずかしそうにこっちをみるや すが可愛くて
でも嬉しそうに口角が上がってて、
思わず抱きしめてまう。
「…ふふ、しゅばるくーん。」
「んー、好き。」
「でも、俺、おーくらと…」
「もしかしてそんな理由で断ったん?」
そりゃ、悔しいし、おーくらむかつくし
俺の知らんや す知ってるとか気が狂いそう。
でも、そんなことより
俺のとこに来てくれたんが嬉しい。
「だって…嫌なるやろ?」
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作者名:suta. | 作成日時:2021年3月21日 2時