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弐 其ノ拾 ページ21

「ふむ、これでよし。あとは三、四日もすれば回復するじゃろ」

「良かったねー弥彦」

「安静にすればの話じゃがな」

ゆさゆさと弥彦くんを揺する薫さん。話を聞いていなかったのか。

「ありがとよじじい。結構すげえなあんた。」

「全く礼になっとらんぞ」

「じゃがまあ、礼を言うならこれを書いた人に言うんじゃな。」

『高荷さん、ですか。』

「ああ、大したモンじゃよ。解毒薬の材料から調合まで完璧に記してある。これを書いた人は間違いなく蘭学、明治風に言うなら西洋医学に長じておる」

「…単に毒に詳しいだけってことはねーかよ」

「毒と薬は紙一重じゃよ、ら現に曼荼羅葉も使いようによっては優れた薬になる。別名“チョウセンアサガオ”と言ってな。江戸中期の名医華岡青洲が作った“通仙散”という手術用の麻酔の主原料がこれなんじゃよ。これを書いたのは西洋医学の中でもとりわけ薬剤に長じた達人じゃよ。断言してもかまわん。」

玄斎先生はハッキリとそう言いきった。
高荷恵。やはり名の通り医者か…?



「高荷家は医者として何代も続く女や子供も医学を学ぶ珍しい一族。そして何よりも患者は全て平等に見るという信念で広く知られていた。」

『先生も、高荷を知っていらしたんですね。』

「ああ。中でも恵さんの父高荷隆生はその極み。何しろ蘭学の高い効用の程を知るやいなやいきなり脱藩。一家総出で長崎へ学びに行く程じゃった。」

『脱藩というのがどれほど覚悟のいることかは貴方達には分からないでしょうね。』

ちらりと横を見ながら言うとこくこくと左之助くんと薫さんは頷いていた。
はぁ、と溜息をつき、立ち上がる。

「?何処へ行くの?」

『疲れているでしょうし、茶でもと。湯を沸かしてきます。』

そろそろ向こうの話も終わるだろう。
さっさと湯を沸かして、外にいる二人の分も入れなければ。

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設定タグ:るろうに剣心 , 緋村剣心   
作品ジャンル:アニメ
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(プロフ) - チア様!コメントありがとうございます!私も文才がない中、必死に勉強しながら書いている所存でございます。これからも日々精進していきますので暖かいような生暖かい目で見守ってくださると幸いです! (2021年1月24日 22時) (レス) id: bdcd37c099 (このIDを非表示/違反報告)
チア(プロフ) - 儚い貴方との思い出を楽しく見させて貰ってます!これからも、頑張ってください。楽しみにしてます! (2021年1月24日 20時) (レス) id: 85b9df66b7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2020年12月18日 21時

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