してませんけど、 ページ24
渋谷さんがもてあそばれている間、残りの六人はこっそりと拝借したポシェットを探っていた。
「なんや、ぎょーさん入ってんなぁ」
「女の子らしいですね」
「あった！」
「スマホ持ってるやん」
「はよ、電話して、横山くん！」
「分かったって…」
中からピンクの子供用のスマホが出て来た。一緒に入っていたメモに連絡先が書いてある。手書きで、ペン習字かのようなきれいな文字。
親が念のためにと書いたんだろう。
横山さんは、親御さんに連絡をとった。
「すばる、あと三十分耐えて。」
「ん。」
振り返ると、渋谷さんの頭は、
きららちゃんとおそろいのツインテールだった。
「ぶはっっ」
耐えきれず、全員が吹き出した。
∞∞∞∞∞∞∞
「きらら！」
バタンとドアが開くと同時に、自分の子供の姿をとらえた。
「お母さん！」
「公園で待ってなさいと言ったでしょ！心配かけてっ…」
母親が周りの探偵たちに気付く。自分の娘とよく似ており、美人だった。
横山が代表し、話しかける。
「きららちゃんのお母さんですね、早く来てくれて、良かったです。」
「ご迷惑おかけしてすみませんでした。」
「いえ、」
「この人たち、すっごい面白いんだよ、ほら…」
振り返って渋谷を見るが、いつの間にかヘアゴムを外して、手に持っていた。
「ほれ、忘れもん。」
渋谷がヘアゴムを返す。
「もうすぐ暗くなるし、はよ帰り。」
村上と横山が出口まで案内する。
「今日は本当にお世話になりました。」
「ばいばい、お兄ちゃん！」
母親は深くお辞儀をし、子供は大きく手を振った。
「きらきらちゃん、ばいばーい！」
安田、大倉、丸山がにこにこと手を振る。
「じゃあね、おじさん！」
「ん？…俺か。もう迷子になんなよ。」
渋谷もひらひら手を振った。
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作者名：アルー | 作成日時：2016年2月27日 12時
