∞八の字探偵事務所∞ (ページ20)

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せんぱい。ページ20

十分後、依頼人が息を切らしてやって来た。

「あっ！ユキちゃん！」

一瞬、女の子かと見間違えてしまうような男の人だった。
あちこち探したんだろう、服に葉っぱがついてるし、猫じゃらしを持っていた。

私は、白猫を依頼人に渡す。

「ありがとうございます！良かったぁ、お巡りさんに拾われてて。すっごい心配したんだよ？」

後半は、ユキちゃんに言っていた。
にゃあにゃあとお互いに会話をしている。通じているかは、さておき。

「伊野尾慧さんやな。」

渋谷さんが一応、確認する。

「はい！探偵さん、ありがとうございました！お巡りさんもありがとうございました！」

依頼人の伊野尾さんは私たちにぺこぺことお辞儀をした。

「いえいえ、よかったね、ユキちゃん」

相葉さんがにこやかに微笑んだ。

∞∞∞∞∞∞∞

伊野尾さんは後日、事務所にお礼に伺うと言って、交番を後にした。

「先輩、頑張ってくださいね。Aちゃんも大変だろうけど、頑張ってね！」

「…おん。」

「はい！」

ばいばい、と相葉さんが手を振って、見送ってくれた。
キラキラの笑顔と一緒に。

「いい人ですね、保育士になれそう」

「俺が警察ってこと、事務所と相葉以外にバラすなよ。私服警官の意味がなくなるからな。」

渋谷さんが険しい顔で忠告し…

「っくしゅん！」

「くしゃみ可愛いですね…じゃなくて、大丈夫ですか？」

「…このことも言うたらアカンで。」

「くしゃみが可愛いことですか？」

「そうに決まってるやろ。」