君色traveler【Color 松田陣平】

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初めてあいつとあった時はそんな感情なんて一切なかったし、逆にあいつがこっちの世界に来た時もなかった……と、俺は思ってたんだ。



だけど、それは大きな間違いだった。



そう、勝手にそう思い込んでいただけだったんだ。



あいつがまだ住処も仕事も見つけてなくて、俺が無理言って居候させてた時のこと、俺は1回だけ未遂を起こした……1回だけAをベッドに押し倒した。



けど、それだけ……手は出てない。



あいつの言葉と僅かな理性が戻ってきて、手遅れにはならずに済んだが、余計な感情に気がついてしまった。



このことは誰にも言ってない、俺の心の中に大事にしまってある。



そもそも、言おうもんなら自分の身を滅ぼすことは分かってる。



1番言ってはいけない人間はだいたい予想つくだろう……そう、萩原だ。



あいつに言おうもんなら毎日のようにいじられるに決まってる！！



次に降谷と諸伏、あの2人のセコムレベルは侮っちゃいけない……敵に回したら厄介なのは目に見えてる！！



俺の中で信用できるのは伊達だけだ……。



まぁ、だからといって言うつもりは無いが……。



もっと言うとこの気持ちを伝えるつもりは無い。



あいつを困らせてしまうのは目に見えてるし、単純に俺に勇気がないだけ。



このままの関係で、Aと同期のあいつらといつまでも馬鹿をやっていたいと思っちまう……つまるところ今の関係を崩すのが怖い。



俺が俺のままでいれる数少ない貴重な居場所だから……。



のんびりと休日を過ごしていると突然携帯が通知音を鳴らした。





萩原《松田ー！！お前、今週末空いてる？》





送り主は萩原。



つか、お前仕事中じゃねぇのか！？





松田《お前、仕事しろよ。特に予定は入ってねぇけど？》





萩原《まぁまぁ、バレなきゃ問題ない！！今週末飲みに行こうぜー！！降谷と諸伏は来ないけど、伊達とAは来るって言うからさ、4人で飲もうぜ！！》





松田《ん、別に構わねぇよ。場所は？》





萩原《伊達がいいお店知ってるらしい。》





松田《珍しい……外で飲むのか。》





萩原《たまにはいいかな？と。Aも乗り気だし、諸伏がいない時じゃないと外で飲めないからな。》





当たり前のように諸伏といるが、あいつはあれでもあまり出歩いてはいけない事になってる。



身バレしたら命を狙われる可能性が高いからだ。

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