君色traveler【Color 松田陣平】

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陣平さんの胸元に顔を埋めて、頭を抱え込むような形で抱きしめられているので、陣平さんの顔を見ることは出来ない。



少なくとも突然の愛情表現に私が恥ずかしさでパンク寸前だ。



とはいえ、逃げる理由はない。



大人しく堪能していると、陣平さんの小さな声が聞こえてきた。





松田｢俺でいいのか？｣





微かに聞こえた陣平さんの弱い声。





松田｢カッコわりぃし、女心とかわかんねぇし、傷つけることもあるかもしれねぇ。実際にそうなりそうになった。それでも俺でいいのか？｣





『……陣平さんがいい。かっこよくなくたって、女心がわかんなくったって構わない。私はそういう所も含めて陣平さんが好きだから。』





答えると優しい拘束が解け、見上げると優しく笑う陣平さんの顔が見えた。





松田｢好きだ、A。｣





『私も好きだよ。大好き。』





完全に雰囲気に飲まれた私達は、どちらからともなくゆっくりと唇を重ねた。



あの時の噛み付くようなものではなく、優しく壊れ物を扱うような触れるだけのキス。



離れると同時に陣平さんと目が合う。



何だかちょっと照れくさくて、はにかめば陣平さんが私の額に自分の額をくっつけてきて、私と同じようにはにかんだ。



なんだか初々しいカップルみたいになってるが、両者共に20歳を超えてることを忘れずにwwww



見切り発車で実行した作戦は上手く行き、めでたく恋人関係にもなった。



だけど、夜遅くなってしまった私は、今日は陣平さんの家に泊まることにした。



帰るのが面倒臭かったって言うのもあるけど、今まで避けられたぶん、一緒にいたいと思った方が大きかったりする。





『陣平さん、お風呂ありがとうございました〜。』





初めてこの家に来た時みたいに、陣平さんの服を借りた。





松田｢相変わらず髪濡れたまま出てくるんだな。そこまで行くと確信犯としか思えねぇよ……。｣





『だって、ドライヤーの在り処分からない……。』





松田｢居候してた時ずっと俺が乾かしてたんもんな。知らなくても仕方ねぇよ。って事でほら、タオル貸せ。｣





大人しく首からかけてたタオルを陣平さんに渡すと、タオル越しでも陣平さんの手が大きいことが分かる。



少し乱暴だけど、順調に水分を取ってくれた。



ソファーに座ってる陣平さんの足の間に収まるように地べたに座れば、ドライヤーのスイッチが入れられ、温風が当たる。

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