君色traveler【Color 松田陣平】

traveler27 ページ27

『うん。私は陣平さんとは恋人関係じゃない。だから、急にあんな展開になってビックリしたよ。私の知らない陣平さんを見て、怖いとも思った。』





松田｢そこまで分かっててなんでお前は俺に逢いに来たんだよ……。また、同じような目にあうかもしれないとか思わなかったのか？｣





『それは思わなかった。ビックリしたし、怖いとも思ったよ？でもね陣平さん……私、嫌だとは思わなかったんだ。』





私の発言に隣の陣平さんがピタッと動きを止めた。





『私は元々そんなに恋愛経験はないから、明確な答えは出せなかった。だからお悩み相談って形でお友達に話を聞いたの。そしたらその話を聞いた友達は色々見抜いちゃった訳よ。ねぇ、陣平さん？その子と一緒に出した答えなんだけど、陣平さんは私の事”好き”ってことで合ってる？』





我ながらちょっと無謀だと思った。



さすがにダイレクトアタック過ぎる……。



固まっていた陣平さんは2、3回瞬きをすると、おもむろにタバコを取り出して火をつけた。



陣平さんが吐き出した紫煙が天井に舞う。



今はその姿さえカッコよく見えて仕方がない。





松田｢はぁ……こんな風にバレるつもりはなかったんだがなぁ……。このことはずっと黙っとくつもりだった。お前とそのお友達っでやつの答えは正解だ。そうだよ、俺はAお前のことが好きだ。｣





陣平さんは一切顔色を変えなかった。



真剣な眼差しで今度はちゃんと私の目を見て”好き”だと言った。





松田｢自分の気持ちには少し前から薄々気づいてた。でも、伝えるつもりはなかった。Aが困る顔がすぐに浮かんだからだ。Aが俺ら5人の事を大切に思ってくれてるのを知ってた。だから、そこで特別な感情を抱いた俺の気持ちを知ったら、優しいAは”絶対困る”そう思った。Aを困らせるくらいなら別に伝えなくてもいいと思って、今までと同じように接した。でも、それは誤算だった。こっちの気持ちをAが知る由もない。そのせいで距離感はバグってやがるし、俺の理性を試すようなことばっかりしてきやがる！！だからって言うこともAを責めることも出来ない。そりゃそうだ、俺自身が招いた結果なんだから。んで、この間ついに抑えてた理性が崩壊して、Aに手を出した。｣





前半は意気揚々と喋ってたのに、後半になるにつれて陣平さんの声が小さくなっていった。



それ程この間のことを後悔しているのだろう。

traveler28→←traveler26

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す