君色traveler【Color 松田陣平】

traveler19 ページ19

灰原｢見事に固まってるわね。あなたの話を聞く限り、そうとしか考えられないのよ。恐らく彼なりに何か考えがあって、心の中に秘めていた、あるいはタイミングを伺っていたのに、思いもよらない何かがあって、抱えていた気持ちが爆発してしまった。いつもなら抑えられてたはずなのに、お酒を飲んでいたせいで正常な判断ができず、あなたに手を出してしまった。って所じゃないかしら。｣





『じゃあ、陣平さんが私を避けてる理由って……。』





灰原｢きっと罪悪感を感じてるのよ。好きな人であるあなたを傷つけてしまったんじゃないかって。｣





陣平さんは見た目とか行動のせいで周りの人から勘違いされやすい人だ。



でも、本来は仲間思いでどんな時でも力を貸してくれる熱くて真面目な人だ。



そう考えると、あの時少し苦しそうな顔をしてたのを思い出す。



多分、理性と本能と戦っていたからなんだろうな……。





灰原｢で？今こうして原因が分かったわけだけど、あなたはそんな彼を知ってなにか心境の変化でもあったのかしら？｣





『…………哀ちゃん。私って結構現金なヤツでさ、きっと本来ならば”許せない！！”って怒りの感情があったり、”会いたくない”って思うはずなんだよ。だけど、そんなのこれっぽっちもなくて……そりゃ、あの時はビックリしたし、見たことない陣平さんを見てかなり動揺したけど、逃げ出したあと”悪いことしちゃったな”なんて、こと思っちゃったの。それに、ふとした時にあの時の陣平さんを思い出して1人赤面したりなんかしちゃって……。”会いたくない”って思うどころか、避けられてるのを気にしちゃってるし。極めつけはあの時一時的に”怖い”怖いと思っただけで、”嫌だ”って思わなかったんだ。』





灰原｢あら、だったら答え出てるんじゃない？｣





『うん。私……多分陣平さんのことが好きだ。友達とか家族とかに抱く”好き”じゃなくて、1人の男性にいだく方で……。』





灰原｢当たり前でしょ。そうじゃなきゃ彼が報われないわ。分かったのならもう悩む必要は無いんじゃない？私、やる事あるからもういいかしら？｣





哀ちゃんっては冷たーい！！



でも、なんだかんだ言って最後まで相談に乗って、導いてくれた彼女はとてもいい人。



なんとお礼を言ったらいいんだか。



結構ガチめに私を追い出しにかかり始めたので、大人しく家に帰りますかねぇ〜。

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