夢色traveler「絶海の探偵」

traveler21 ページ21

ーAsideー

あれ……私どうしたんだっけ……。



一瞬意識が飛んでたような気がする。



だんだん体の感覚がなくなってきてる。



再び薄れていく視界に白い光が見えた。



その光があまりにも綺麗で、無意識にそれに向かって手を伸ばしていた。



すると突然耳をつんざく大きな機械音と目を開けていられないほどの強風。



何事かと無理やり視界を開いて見上げれば上空にはヘリがボバリングして飛んでいた。



もしかして、これって救助？



ぼんやりそんなことを思っていると、ヘリから人が降りてくる。



引き上げは1人ずつ行われるみたいで。






救急隊｢落ち着いてください！！順番に引き上げますから、もう安心して手を離して大丈夫ですよ！！｣






男の人にそう言われて今までずっと蘭ちゃんの腕を掴み続けていたことを思い出した。



言われた通りに手を離した時、蘭ちゃんの腕に思いっきり掴んでいた手形が付いてるのが見えた。



跡が残るほど強く、長く掴み続けてしまったらしい。



悪いことしたな…………



先に蘭ちゃんが引き上げられ、その後に私。



引き上げられたあとは2人仲良く担架に乗せられた。



このまま病院へ直行するそうだ。







ー病院ー

救助隊員から私達の状態が伝えられ、院内へと運び込まれる。



私と蘭ちゃんは同じ部屋に入れられた。



それと、今日は一日安静を取って入院する事に。






『蘭ちゃん、ごめんね。』






蘭｢なんで謝るんですか。｣






『腕……跡ついちゃったでしょ。』






私の言葉に蘭ちゃんは腕を確認して、そこで初めて私の手形が残ってしまったことに気がついた。





蘭｢このくらいなら大した事ないですよ。むしろ私がAさんに謝らないと。Aさんを巻き込んでしまったこと、私の事を助けようとしてくれたから一緒に落とされてしまったこと。｣






『謝らなくていいよ。私は巻き込まれてなんてないよ。自分から首を突っ込んで行ったんだ。自業自得だよ。』






蘭｢それならAさんも謝らないでください。Aさんが私の手を離さず掴み続けてくれたおかげであの広い海でバラバラにならずに済んだんです。私にとってこの跡は2人して助かることが出来た。証明で奇跡の印です。｣






｢やだ、ちょっと小っ恥ずかしいからやめて！！｣






キツく掴んでいたのは本当に無意識だった。

traveler22→←traveler20

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す