short films (ページ14)

今日:21 hit、昨日:2 hit、合計:32,085 hit

忘れたくて忘れたくない (S.h) ページ14

『久しぶりだな、なんか痩せた？』

私の顔を見るなりそう言ってきた紫耀

「こっちのセリフだよ。ちゃんと食べてる？これ、おばさんから預かってきた。おばさん、心配してたよ。たまには連絡してあげて。」

紫耀のママが作った料理のタッパー達が入った
紙袋を手渡し、駐車された車に乗り込む

『俺んちでいい？』

「あ、そこの河川敷に駐車できるかな？」

『え？』

「そこでちょっと話したいことあるの」

河川敷に車を止めてもらい
車の窓を少し開けた

一連の出来事を不思議そうに見つめる紫耀

『話って？俺んちじゃだめなん？』

「あのね・・・」

『どした？』

言葉が喉から先に出ない
唇を強く噛んで、何度もシュミレーションした
言葉を思い出す

『、、まゆ？』

私の異変に気付いたのか、
私の右手を優しく包んでくれる

やめて、

優しくしないで。

その暖かくて優しくて
大きくてゴツゴツした手を自分の手から剥がした

「_______________私たち、別れよう」

『・・・は？』

「・・・」

『何言ってんの？ふっ、変な冗談やめろよ
全然面白くないから』

「紫耀冗談じゃないよ？」

『本気で言ってんの？』

「紫耀は、もうわたしの知ってる紫耀じゃないの。自分が一番、、、分かるでしょ？」

『分かんねーよ。俺はまゆがいるから
こうやって頑張れてる。まゆにはたくさん
辛い思いさせてるって思ってる。
だけど、俺のワガママだけど、
・・これからもそばにいてほしい』

「・・・好きで、好きでどうしようもないから！
これ以上、、一緒に居たくないの。」

『好きなら一緒にいればいいだろ？
それの何がいけないんだよ。』

紫耀が私の肩を掴む、

その手が

痛いよ。

「・・・有名になんて、ならなきゃいい！って何回も思った。デビューなんてしないで欲しかった。これ以上、遠くに行って欲しくなかった。
ごめんね？でもこれが私の今の本音なの。大好きな人の夢を邪魔しようとする自分が嫌いなの！だから、、、紫耀の夢、ちゃんと応援したいから。
私と別れてください。」

紫耀の顔を涙でぼやけた目で捉える

『俺馬鹿だから言うけど、、
俺は、夢もまゆも両方選びたい。』

紫耀の力強い目が
胸に突き刺さる

＿＿＿＿＿＿＿＿＿

続く