short films (ページ12)

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シンプル 1 (S.h) ページ12

左半身にに重みを感じ、目が覚める

あれ...いつ来たんだろう？

その重みの正体はスヤスヤ眠る彼

目覚まし時計に目をやると
時刻は6:00

久しぶりに見た寝顔に、飛びつきなる気持ちを我慢し、隣で眠る紫耀を起こさないように2人で眠るには狭いベッドを抜け出した

＿＿＿＿＿＿＿

「はぁ・・・緊張して全然眠れなかった」

目の下に薄っすらできているクマが
寝付きの悪さを物語る

今日は、まゆが始めてチームメンバー
の中心となって行ってきた、
プロジェクトチームの発表会
入社3年目にして掴んだビックチャンス

念願のプロジェクトチームに抜擢され、
この3ヶ月間走り続けてきた

付き合っている彼も
芸能界という大きな世界で走り続け
私のプロジェクトが始まると、共に
CDデビュードラマ出演と
毎日忙しくしている。

お互い大勝負の仕事のため、
会う時間もすれ違い、紫耀
の寝顔を見たのは1ヶ月ぶりだった

洗面台でいつもより入念に化粧を施し
簡単な朝食を2人分作る

『まゆ、おはよ...』

まだ起きていない頭で目をこすりながら
紫耀が起きてきた

おはよう、昨日夜来てたんだね

『うん、会いたかったから...』

後ろから抱きしめられ
久しぶりに彼の温もりを感じる

「私もだよ？
ねぇ、ちょっと痩せたでしょ？」

『まゆのご飯たべれなかったからぁ』

頭を耳の後ろにすり
合わせてくる仕草は
紫耀が甘える時のサイン

「んふふ、くすぐったいよ...
朝ごはんいっしょに食べよ？」

「ん...」

まだ完全に目覚めていない彼の手を引いて朝食を食べる

「今日お仕事は？」

『夕方から』

「じゃあまだ寝てたら？」

『いや、今日まゆの仕事の大切な日だよな？それに一緒にご飯食べたかったから』

「紫耀・・」

私が何気なく電話で話したお仕事の日にち覚えててくれたんだ

こういう所が、たまらなく好きだ。

『ほら、はよ食べないと遅刻するで？』

そう言っていたずらっ子のような顔で私を見る

久しぶりに2人で囲む食卓は
暖かくこの時間がずっと続けばいいと思った

「あ、もうすぐ出ないと」

『よし、いくか！』

「え？どっかいくの？」

『彼女のお見送りです～』

そう言って車の鍵をくるくる回し
玄関先へ向かう紫耀

『車家の前に回しとくから早く用意しろよ～』

と家を出てしまった

「送ってくれるんだ・・・」

思わず緩んだ頬を抑えられなかった

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

続く