9:今のところは ページ10
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視界が不明瞭になるほどの濃い霧が立ち込める湿原内。他の受験生が試験官を見失わぬよう注力する中でAは忙しなく辺りを見渡して目を輝かせていた。
ツンと隣を走るイルミの服を軽く引っ張っては「あれ何?」なんて呑気に聞いているのだ。因みにこの問いに対するイルミの回答は決まって「知らない」である。
『もう、何で知らないの?』
「知るわけないじゃん、写真とって後で聞けば?」
『そこまでして知りたい訳じゃ無いよ』
お金払う程じゃないと言外にAは告げる。それに騙されている人の様子は面白いけど取り扱うには管理が大変そうだし、なんて内心付け加えた。
因みに彼女の機嫌を急降下させた理由の一端、汚れることについてはイルミの「暗歩使えば?」の一言により解決した。
何故彼女が暗歩を使用できるのかと問われればそれはイルミに繋がる。
時期にして4、5年ほど前、経緯は省くがAはイルミに念能力の実技と暗殺技術の初歩──気配の消し方や足音の消し方──を教わったことがあるだ。イルミ曰く「先行投資」であり、「下手なの紹介すればウチの信用に関わるから」とのこと。余談だがAにとって
Aは断絶した名家の一人娘、そして生粋のワガママ姫。ここまでくれば暗殺者であるイルミと面識がある理由にも何となく察しがつくだろう。因みにAの現在の職業こと暗殺もイルミの紹介である。こちらに関してはAからの依頼であり、その流れでイルミから例に挙げた様なことを教わることになったのだ。つまり下手なの紹介すればとはこの依頼のことである。
そんなこんなで暗歩を駆使すれば足音も立たたず、それによって泥が飛ぶこともない。Aの懸念は湿気を除き解決したのでAの機嫌はそう悪くないのだ。
『あ、そう言えば今日の試験って兄弟で受けてるの?』
「...会ったことあるっけ?」
『無いけど、99番だったかな...あの子の色と顔立ちはゾルディックのものでしょ?』
「ふぅん...一応言っとくけど、ちょっかいかけないでよ」
『今のところ興味無いけど、私よりヒソカに言った方がいいと思うよ』
だって、少し前からヒソカ特有の禍々しいくてねっとりしたオーラと殺気がチクチクと後ろから刺さる。他の受験がもっと前に来た方が良いと叫んでいる声まで聞こえたくらいだし、よっぽどじゃないかな。
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マニ。(プロフ) - 海神 瑠花さん» ✉️。是非!遅いのも私も同じなので仲良くしてくれると嬉しいです!ボードに返事送りました!お返事お待ちしています。💖 (11月26日 19時) (レス) id: c4b8377817 (このIDを非表示/違反報告)
海神 瑠花(プロフ) - マニ。さん» ありがとうございます!︎💕︎返信が遅くなることが多々あるかと思いますがそれでも大丈夫なのでした是非😊✨ (11月26日 17時) (レス) @page4 id: 047a8ff329 (このIDを非表示/違反報告)
マニ。(プロフ) - ✉️。こんにちは、とても面白いです!もしよろしければボードで会話とかしたいのですがよろしいですか?お返事お待ちしています!💖 (11月26日 17時) (レス) id: c4b8377817 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:海神 瑠花 | 作成日時:2023年11月26日 12時