3︰私、グレープジュースが好きなの ページ3
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誰だって面倒事は避けたいものだ。例外では無いAも豆のような頭の男から125のプレートを受け取り大人しく受験生の群れに紛れた。
「よ!君は初受験だよな」
適当な場所に座ろうかと辺りを見渡しいてる最中、後ろからかけられた声にAは振り返る。
『どうしてそんなことが分かるの?』
そう問うてこてりと首を傾げたAの端正な顔立ちにトンパは思わずたじろいだ。そんな様子のトンパを明らかに怪しいなぁとAは目を細める。下手な演技も目に透ける思惑もAにはなんら意味をなさない。
「ま、まぁオレはベテランだらな!何しろ10歳からもう35回は試験を受けてるから。分からないことがあったら何でも教えてあげるよ」
そう一見人好きのする笑みを浮かべるトンパをAは何を考えているのか読めない瞳で見つめてから一拍。
『別に大丈夫』
「そう言わずに!あ、そうだ、これお近付きの印に!」
差し出されたオレンジ色のラベルのジュースを一瞥したAは相変わらずの瞳で言った。
『私、グレープジュースが好きなの』
「え、あー!ごめんな!今回はこの味しか持ってきて無いんだ」
『じゃあ要らない』
断ったにも関わらず「そう言わずに!」と相変わらずの笑顔で押しつけてくるトンパに『じゃあグレープジュースを頂戴?』Aはにっこり笑って再び言った。勿論今回は軽い殺気付きで。だっていい加減面倒だし、執拗いのは嫌い。でも殺しちゃったらそれでまた面倒だし、嫌になる。いっそこの場にいる人全員殺しちゃえば良いのかな。慌てて去っていくトンパの後ろ姿をぼんやりと見送ってからAはムッと頬を膨らませ拗ねたように独り言ちる。
『...グレープジュース飲みたくなっちゃった、』
そのまま斜め後ろ上に視線を向けて、「持ってる?」Aは当然のように続ける。ずっと痛いくらい私にだけ殺気を向けてきてたんだから、気が付かない訳が無いでしょ?
「やぁ、気づいてたんだね♢」
『当たり前でしょ?』
悪びれる素振りも見せずに笑うヒソカにAは不機嫌そうに頬を膨らませる。
『ねぇヒソカ、私グレープジュース飲みたい。それと縮んでよ』
見上げるより見下す方が好きなのと続けるAの傲慢さにヒソカは肩をすくめる。
「仕方が無いな...♧」
すっとその場に膝をついて「失礼しても?♤」妖しげに笑って問いかけるヒソカにAは愉快にそうにザクロのような紅い唇を吊り上げた。
『良いよ、許してあげる』
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マニ。(プロフ) - 海神 瑠花さん» ✉️。是非!遅いのも私も同じなので仲良くしてくれると嬉しいです!ボードに返事送りました!お返事お待ちしています。💖 (11月26日 19時) (レス) id: c4b8377817 (このIDを非表示/違反報告)
海神 瑠花(プロフ) - マニ。さん» ありがとうございます!︎💕︎返信が遅くなることが多々あるかと思いますがそれでも大丈夫なのでした是非😊✨ (11月26日 17時) (レス) @page4 id: 047a8ff329 (このIDを非表示/違反報告)
マニ。(プロフ) - ✉️。こんにちは、とても面白いです!もしよろしければボードで会話とかしたいのですがよろしいですか?お返事お待ちしています!💖 (11月26日 17時) (レス) id: c4b8377817 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:海神 瑠花 | 作成日時:2023年11月26日 12時