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Episode8 ページ8











学校からの帰り道。

近くの公園で一人でブランコを漕ぐ背中を見付けた。









「何してるん?大倉くん」


「あっ、安田くん」









彼の前に立って尋ねてみると、

彼はふわりと笑った。









「楽しいん?一人で遊んで」


「楽しいで」









相変わらず彼はニコニコと笑ってる。

やっぱり彼の心が読めへん。









隣のブランコに座って

楽しそうに遊ぶ大倉くんを見た。









「僕の前では無理せんでええねんで?

僕も笑わへんし」









別に優しくなんか言わなかった。

でも大倉くんはふわりと笑って、せやね、と言った。





























静寂な時間の中で

ブランコを漕ぐ音だけが響く。









どちらも何も喋らへん。

でも不思議とそれが苦にはならへんかった。









こういう安心感を覚えたのは

信ちゃんと渋やん以来やないかな。









そんなことを考えていると

不意にブランコを漕ぐ音が止んだ。









「安田くんは、何も言わんのやね」


「何が?」


「僕が施設に来た理由、聞かへんのやなぁって思って」









そう言った大倉くんの顔は

年下には思えへんくらい大人っぽかった。









「言いたくないことかて、あるやろ」


「・・・せやね」









小さく頷いてまたブランコを漕ぎだす。

錆びた鉄の音だけがまた響いた。









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- この作品面白いです!もしよかったら私の作品も見てください…題名は「Bar Eight」です…よろしくお願いします…更新頑張ってください!楽しみにしてます! (2015年7月8日 20時) (レス) id: b557673d46 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう☆(プロフ) - 咲希さん» やっとやっさん編まで来ました~!笑 そんなこと言ってもらえるなんて、めっちゃ嬉しいです(*´-`)全シリーズ完結目指して頑張ります!! (2014年11月23日 8時) (レス) id: 50f67557b5 (このIDを非表示/違反報告)
咲希(プロフ) - 章ちゃん編おめでとうございます!!ゆう☆さんのパッチシリーズは全てきちんと繋がっているので読みやすいし分かりやすいし振り返りやすいしで大好きです!更新頑張ってください(p^-^)p (2014年11月23日 8時) (携帯から) (レス) id: 4347f1ae5c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆう☆ | 作成日時:2014年11月23日 1時

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